紅茶にミルクか、ミルクに紅茶か。

イギリスと言えば、紅茶の文化。その歴史は古く、1650年頃であったと言われています。

そもそも、なぜ紅茶がここまでイギリスに根付いたのかというと、水と土壌によるものが大きいようです。
というのも、ヨーロッパの水は、日本のように勾配が急ではなく、石灰質の地層中に留まる時間が長く、ミネラル分を多く含んだ硬水となります。硬水はマグネシウムや、カルシウムなどのミネラル分に富む反面、素材の味を引き出しにくく、料理には不向きとされています。そして、イギリスの土壌は酸性が強く、農業に不向きということで酪農が盛んになりました。

この2つの要因から、完全発酵茶である紅茶が親しまれ、コクのあるミルクも手に入り、紅茶にミルクを加えるミルクティーといった楽しみ方も生まれたようです。そんなミルクティーの飲み方について、1870年頃から130年もの間、論じられていた議題があります。

 

「紅茶にミルクを入れたほうが美味しいのか、ミルクに紅茶を注いだほうが美味しいのか。」

 

どちらにせよ同じミルクティーになるのだから、どちらでも良いのでは?と思ってしまいそうな話ですが、130年にも亘り議論されていた、というのですから、イギリスの紅茶に対する想いには驚くばかりです。

さて、そんな「ミルクが先か、後か論争」は英国王立化学協会が2003年に発表した論文によって、一先ずの収束を迎えました。
結論から述べますと、「冷たいミルクに熱い紅茶を注ぐこと」が理想だということです。

どうやら、ミルクが含むタンパク質に鍵があったようです。
タンパク質は熱を加えると、固まるという性質があります。ゆでたまごは、と考えるとイメージしやすいかと思います。
つまり、熱い紅茶に冷たいミルクを注いでしまうと、ミルクが固まりやすく、均一に混ざらないということです。

コーヒーでも、セラミックで挽いた豆と金属で挽いた豆では、前者の方が熱による酸化が少なく、風味も豊かになるそうです。

 

何気無い作業の1つ1つが持つ奥深さに物事の本質を感じますね。

前置きというにはあまりに長くなりましたが、何気ない作業にこそ、物事を有利に進めるコツが隠されているような気がしませんか?昔、こんなことを言われたことがあります。

 

「出来るやつと出来ないやつの差は、ちょっとしたことなんだよ。」

 

同じ計算をするにしても、計算の順序を変えてみる。
同じ図を書くにしても、単位もつけて、大きく書いてみる。
同じ消しゴムを使うにしても、修正箇所だけをしっかりと消す。
同じ過去問を解くにしても、時間のかからないものから始めてみる。

 

同じ作業であっても、結果はきっと違うものになると思いますよ。