センター南に新校舎を出した頃、大手塾の先生から興味深い話を伺った。
「このあたりの地域は、他の地域と比べて、かなり“ゆる受験”ですよ」と。
当初は、挑戦よりも安全志向を重視する家庭が多い、という意味かと思った。
しかし、どうやらそうではないらしい。
「6年生の12月、場合によっては1月、つまり入試直前の時期になって、
“志望校に合格できる自信が持てないので、受験をやめます”と言って
塾を辞める子が少なくないのです。」
もちろん、「受験をやめる」と言っている子どもたち全員が、
本当に受験そのものを断念しているわけではないと思う。
個別指導や家庭教師に切り替えて受験を続けているケースもあるはずである。
それでも、ここまで努力を積み重ねてきたにもかかわらず、入試直前になって
「合格が難しそうだから受験をやめる」という判断に至る子どもが
一定数存在する、という話には考えさせられるものがあった。
「あと少しなのだから、最後まで頑張ったらいいのに」と思ってしまうが、
実際には、その“あと少し”を踏ん張れない子どもが少なくないのだという。
長年、多くの受験生を見てきた先生の経験に基づく話である以上、
単なる偶然とは言い切れないだろう。
受験直前期に塾を辞めていく生徒が、一人や二人ではないというのであれば、
確かに地域的な特徴と呼べるのかもしれない。
ところで、東戸塚に続き、センター南もまた塾激戦区として知られている。
そのため、サーパスのような小規模塾であれば、
競合の少ない地域の方が、生徒を集めやすいのでは?と思われることも多い。
実際、「なぜ、これほど塾の多い地域にしたのですか?」
「サピも日能研も、四谷も早稲アカもあるのに」
と驚かれることも少なくない。
しかし、だからこそ、サーパスが存在する意義があるのではないか、
と私は考えている。それは単に、
「大手塾についていけなかった子どもの受け皿になる」という意味ではない。
もちろん、そのような役割も大切にしているが、それだけではない。
サーパスは、勉強そのものに対する苦手意識や、
自分自身への自信のなさを抱えている子どもに力をつけさせ、
「自ら頑張ろうとする子」に育つことを重視している。
一方で、「学ぶことそのものが好きだ」「できるようになることが楽しい」
「将来は東大に進学したい」「ノーベル賞を取るような研究をしたい」
そうした高い知的好奇心や向上心を持つ子どもたちに対しても、
飽きさせることのない刺激的な授業と、互いに切磋琢磨できる環境を
提供したいと考えている。
その結果として、現在の学力に関係なく、「もっと成長したい」
「もっと学びたい」と思える子どもが増えていくのであれば、
それは非常に価値のあることではないだろうか。
入試が近づくにつれて、不安が大きくなり、
精神的に追い込まれていくのは当然のことである。
その過程で、気持ちに余裕を失い、
「傷つくくらいなら受験そのものをやめたい」と考えてしまう子どもが、
この地域には比較的多いのかもしれない。
あるいは、それは地域性だけではなく、時代性でもあるのだろう。
中学受験の勉強が思うように進まないことを、
どこまで「逆境」と呼ぶべきかはわからない。
しかし、苦しい状況を乗り越えた先に成長があると考えるよりも、
そもそも苦しい状況そのものを避けたい、
と考える子どもや保護者が増えているようにも感じる。
だからこそ、受験直前期になればなるほど、子どもや家庭を孤立させず、
「最後まで一緒に頑張ろう」と伴走し続ける存在が必要なのではないか。
サーパスは、そのような意味で、
子どもたちと家庭にとっての支えになれる塾でありたいと考えている。
