かっこつけずに

激励会が終わって6年生が帰ると、塾が「祭りのあと」のような雰囲気になる。
この会のために集まってくれた卒業生たちも、受験生が帰った後、
「また来年来ますね!」「先生たちもあとちょっと頑張ってください!」
なんて言いながら、一人二人…と帰っていく。
それこそ、一年のうち、この日しか会わない子もたくさんいて、
なんとなくしみじみとした気持ちで、後ろ姿を見送る。

そんな中で、全く帰ろうとしない卒業生もいる(笑)。
同級生と久しぶりにサーパスで再会したので、時間いっぱい過ごしていくのだ。
今の時代は、メールやLINEで(会わなくたって)大抵の話はできるし、
わざわざ残って話すようなこともないだろうに…
朝から仕事に来ている身としては、しんどい!と思わないこともないけれど、
卒業してもなお、居心地のいい場所になれているのだとしたら、
それも一つの塾の存在価値かなと思ったりする。

 

かつて、卒業生が在校生に力説していたのを聞いたことがある。
「今のこの環境ね。本当に、もう二度とないんだよ!
それをわかった方がいいよ!大事にした方がいいよ!」

そんな風に言ってもらえるほどの環境にできているか、
抜け落ちや見落としはないか、もっとやれることはないか!
と思ってはいるが、こんな風に卒業生に言われると、悪い気はしない。

 

「親の心子知らず」ならぬ「先生の心生徒知らず」なことが日々起こるけれど、
卒業生ともこうやって縁が続くのは、受験生として過ごす最後の期間に、
お互い本気になってやっていたからこそなのかなと思う。
また、「子は親の鏡」ならぬ「生徒は先生の鏡」だとすれば、
今まさにこちらの本気度が試されているんだなと、身が引き締まる。

 

あと一カ月。
ツンとすました感じで、かっこつけて過ごすよりも、
泥臭く、石にかじりついてでも、必死にあがいてやろうじゃないか!