小学生のうちに勉強する意味③

しかし、その課題(うまくいかない理由)は、中学受験のせいではない。
中学受験が向いているとか向いていないとか、そういうことではない。
高校受験に切り替えたところで、その課題は残ったままである。
中学生にもなると、親がいちいち子どもの勉強の進捗状況を見なくなるから、
(きっと)やれているのだろう!と思うだけで、課題は何一つ解決していないのだ。

 

まぁ、中学以降の定期テストは、常に範囲の決まったテストで、
学校や先生によっては、学習指導要領通りに問題を作ったり、
何年も定期テストの問題を変えなかったりするから、
間違った勉強法でも、内申点を取ることは可能かもしれない。
そして、その内申点を利用して推薦を取れれば…高校には入れるかもしれない。
また、大学受験も同じ方法で…という考え方もギリギリあるのかもしれない。

だが、受験を乗り切れるかどうかよりも大切なことがあると考えるなら、
中学受験をやめるにしても、正しい勉強法については、身に着けた方がいいと思う。
だから、それこそ「塾を辞めます」という連絡があったときでさえ、
「ウチじゃなくていいから、勉強は続けておいた方がいい」と、
辞める方からしたら余計とも取られかねない一言を付け足すこともある。

 

さて、では正しい勉強法を習得するために必要なことはなんだろうか。
その第一歩は、「人の話をちゃんと聞く」ことである。
この「ちゃんと」という言葉は曖昧でわかりにくいから、もっと具体的に、
何か他の作業中だったとしても、できるだけ手を止めて、
話し手の方を向いて、目を見て聞く。必要に応じてメモを取る。
こういうことが、「ちゃんと聞く」ということなのだと教えていく。

しかし同時に、これを教える側の人間が、
子どもの話を「ちゃんと」聞いていなければ、説得力を持たない。
何かの作業をしながらでも、大人は人の話を聞けていると、自分では思っている。
だが、それでは、子どもと主張が一緒である。
子どものために、作業を止めて、目を見て話を聞いてみせなければならない。
逆に言えば、大人が「ちゃんと」子どもの話を聞いてあげれば、
子どもが話を聞けるようになる可能性は上がるかもしれない。

 

大人も暇じゃないんだ、忙しいんだ。だから、
答えも渡しておくから、問題集を自分で進めてほしい。
解き終わったら自分で丸付けして、わからなければ、後でまとめて質問して!
というやらせ方で問題集を進められている子がいたとして、
さて、この子は正しい勉強法で本当に勉強できているのだろうか?
話もちゃんと聞いてもらえていなかったら、
大人の忙しさに配慮して、迷惑をかけないようにわかったフリをする子も、
大人が忙しいことをいいことに、うまく手を抜く子もいるだろう。

そういう意味で言えば、問題集を渡しておいたけれども、
それを進められない子というのは、
サボっているわけでもヤル気が無いわけでもなくて、
もしかしたら真っ直ぐな正直者なことだってあるかもしれない。