話変わって、自動車メーカーのマツダ。
車と言えばトヨタや日産のイメージが強いですが、デザインにおける日本の代表はマツダなのかもしれません。
世界に認められる権威のある賞をいくつも受賞しています。
マツダという会社が手がける車体のデザインには、妙に惹きつけられるものを感じます。
自動車とは全く縁が無く、自転車で生活をしている人間の私ですら、何か感じるものがあるのです。
これは「魂動(こどう)」というデザインコンセプトによるものなのでしょう。
このコンセプトを掲げ、見事にブランドの象徴とも言えるまでに育て上げたのは、常務執行役員 デザイン・ブランドスタイル担当の前田育男(まえだ・いくお)氏。
クルマは、心が通ういわば生き物のような存在にしたいと考えています。そこで生き物の形や動きを徹底的に研究し、それをクルマの形や動きに反映させようとしました。
造形面で現在のマツダデザインの原点となっているのが「御神体(ごしんたい)」。これは、さまざまな生き物を模写し、その動きのエッセンスを次第に抽象化した立体で、デザインチームが1年かけて作り上げました。金属を削って作られたものですが、どこか温かみがあり、張りもあります。
前田氏によると、マツダが手がけるユニークなデザインには、御神体があるようです。
この御神体からインスピレーションを受け、賞を受賞するようなモデルが次々に誕生しています。
今でこそ、マツダのデザイン力はこの御神体あってのもの、と簡単に言えます。
しかし、これを1から作り出すということは、そんなに簡単なことではないと思います。
それを実現できたのは、御神体を作り出すまでに、このデザインチームに統一された哲学・原点があり、そこに忠実にあり続けられたからこそ、ではないでしょうか。