偏差値や、アピールのうまさだけではわからない

それぞれの学校に、それぞれ通っている子どもがいるわけだから、
(サーパスの卒業生が通っていなかったとしても)
正面切って学校批判をするのは良くないと思っている。

しかし、そうは思うのだが、学校の価値を上げようと、
偏差値を上げることばかりにご執心な学校は、どうも好きになれない。
もちろん、学校だって経営が悪化すれば成り立たなくなるので、
生徒集め、受験生集めが死活問題であるのはわかる。
わかるけれど…である。

 

ここ10年くらい、学校を企業のように捉える人が増えた。
そういう人からすると、
学校も新規の顧客(生徒)を獲得するために、様々な取り組みをすべきであって、
顧客を集められない学校は、企業努力が足りないという評価になるのだろう。
だが、はたして学校を企業と同じように捉えるべきであろうか。
多少はそういう面も必要かもしれないけれど、
学校は、すでに通ってくれている生徒のことを一番に考えてほしいと思う。
ただでさえ、学校の先生は忙しくしているのに、
外見を良く見せることばかりに一生懸命になるのは、
先生のエネルギーの使い方として、本末転倒だと思うのだ。

 

過去にあった実例を挙げる(学校が特定されないように数字は多少変える)と、
ある学校で、ある試験日の募集定員が30名と発表されてあり、
約2倍の応募者があった。実際に受験した子どもは少し減っていたが、
それでも30名以上の受験生がいた。しかし、そのとき合格したのは5名。
事前に、点数が基準に満たない場合は、合格者を定員より少なくする場合もある
と言ってあれば問題も少ないと思う(その基準も明記すべきだと思う)けれど、
この学校にいたっては、そういった事前の発表はなかった。

もし30名ちょうどの合格者を出していたら、倍率は2倍を切っていたし、
学校の偏差値はおそらく下がっていたことと思う。
さらにこの学校の徹底していたところは、
後日、不合格にした受験生に個別に連絡をして、繰り上げ合格を出したことである。
繰り上げでも合格したら嬉しいと思う人もいるかもしれないが、
この場合、学校側からすると、繰り上げをいくら出しても偏差値は下がらない。

本来の発表日に合格が出なければ、子どもの受験スケジュールにも影響が出るわけで、
どうせ合格にするなら正規合格で合格にしてあげたい!
と、見た目の偏差値が下がってでも合格者をキッチリ出す学校の方が、
個人的には好きであるし、信頼できる。

とにかく、結果として、その学校の偏差値は入試前よりも上がった。
翌年以降にその学校を受けようとする生徒や保護者には、
そのからくりはわからない。
受験雑誌などでたくさん取り上げられる学校の企業努力は素晴らしいと思いつつ、
そこでかかる費用はどこから出ているか、そういうことも考えてもらえたら、
ちょっと冷静になれると思う。