長い目で、大きな視野で。

ここ数年、と言っても、もう10年くらいの期間になるが、
公立の学校には若い先生が増えた。
今の親世代が小学校に通っていた頃は、若い先生はあまりいなかったはずだ。

当時は、若い人が先生になりたいと思っても、
ほとんど、先生にはなれなかった時代である。
厳しい教員採用試験(高い倍率のところは10倍以上)に合格できたとしても、
そのタイミングで学校の先生が誰も辞めていなければ、
働ける場所(学校)がないので採用されない。
県で募集人数が1人、2人などということもあった(と記憶している)。
しかし、団塊の世代と呼ばれるベビーブーム世代あたりの先生が、
定年でゴソっと抜けた2010年前後から、採用人数がドッと増えた。

 

まぁ理由はどうでもいいのだが、とにかく、学校には若い先生が一気に増えた。
おそらく、親世代よりも若い先生が多くなってきたのではないかと思う。
さて、そこで、ちょっと思い出してみて欲しい。
今、お父さんやお母さんの働いている職場にいる、
若い世代(20代から30代前半くらいまで)の人のことを。

 

もちろん優秀な人もいるだろうし、熱意のある人もいるだろう。
だけど、まだまだ若い。
ミスすることも、空回りすることも、きっとある。
知識や経験が足りなくてできないことも、おそらくたくさんある。

だから、どんなに見どころのある後輩であっても、
若いその人を放ったらかしにはしないと思う。
むしろ、期待しているからこそ、変なことで挫けて欲しくないと思い、
上司や先輩社員が、それとなくフォローしているのだと思う。
過保護にするという意味ではなく、大切に一人前に育てようとするのだと思う。

 

だが、今の学校では(もちろん学校によるだろうけれど)、
ベテランの先生たちが、ゴソっと抜けている可能性が高い。
そのくせ、仕事量や、精神的な負担は半端ない。
学校の先生って、本当に大変な仕事だと思うのだが、
しかし、優秀な先生、熱意のある先生が、辞めていったり、
先生になろうとする人がいなくなったりしては、子どもたちが困る。

子どもたちにとっては、若くても先生なのだから、先生になろうとする人は、
最初からしっかりしていて欲しい、ちゃんとしていて欲しい
という気持ちもあるだろうし、(子どもを預けていると)
ついつい厳しい目で見てしまう人もいるだろうけれど、
若い人のダメなところをつつくのではなくて、
もっと長い目と大きな視野で、若い人がちゃんと育ってもらった方が
みんなにとって良い未来になるはずだ、という感覚でいた方が良いように思う。