先月の初旬に、
『深夜に96歳の男性が「ラーメン食べたい」と言ったら、どうしますか?』
という記事があがった。
この記事に登場する近藤さんという方は、半年の病院生活から退院したばかり。
入院中はペースト食しか食べられなかったそうだが、
退院後は、介護施設に一時滞在しながら、リハビリを受けているところだという。
さぁそこで、その96歳の男性に、
「ラーメン食べたい」と言われた時、しかも深夜!
介護施設の職員さんたちが取った行動は…?というお話だ。
実は、最初にネットにあがったのは、この記事ではなく、
近藤さんが深夜にラーメンを食べている動画で、
そして、この動画が大炎上したというのが、事の発端だった。
介護職に就かれている人からも、ありえない、信じられない、
という声があがり、この施設、職員の方々が非難の的になった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d63b5744e40867ed33179491b1f29b16a9956ed0
しかし、その後にあがったこの記事を読むと、
そこに至るまでの職員さんの配慮や努力(しかも多方面のプロの人たち)がわかる。
つい先日までペースト食しか食べられなかった96歳のおじいちゃんに、
深夜、突然ラーメンを食べさせたわけではないのである。
この施設や職員さんたちを批判する人は、
ここで働くプロの人たちの仕事を、自分の物差しだけで判断して、
軽く見過ぎているのではないだろうか。
一方で、この深夜のラーメンに好意的な人も、
「本人の好きにやらせればいい!」などと言うかもしれないが、
それだってやはり、ここのプロのお仕事を軽く見ていることに変わりはない。
何かあったら、様々な責任を追及される。
責任云々をわきに置いたとしても、命のかかる局面である。
安全を最優先するなら、ラーメンなど断ればいい話。
しかし、その人の満足感や充実感、生への意欲を引き出すために、
できる限りの準備をして、その日を迎えたということ。
そこへのリスペクトが無い。
もちろん、後から出た記事を読まないと、
そこに至るまでの経緯は誰もわからないわけだけれど、
逆に、詳細がわからないのに表面的なことだけで批判する(または称賛する)
ことの無責任さについては、今の時代、度を越していると思う。