前回のブログで紹介した『おやときどきこども』の中に、
「子どもの成績が伸びない」と相談にくる親の話もありました。
成績がうまく伸びていかないという相談は、サーパスでもあります。
そういうとき、勉強のやり方が良くない可能性や、やらせ方が良くない可能性、
あるいは、ひょっとして塾や先生との相性が悪いの?という可能性…などなど、
様々な原因について考えらえれると思います。
しかし、先の『おやときどきこども』で書かれていたのは、
『実際は、がんばっているからこそ、いまのその成績が維持できている』
という可能性についてです。
以前、偏差値について長々とブログで説明したことがありますが、
偏差値は自分の頑張りだけで上げられるものではありません。
ですから、例えば「偏差値が伸びていない」という事実があったとしても、
それは、周りの人も頑張っているから、仕方がないことかもしれないのです。
むしろ、その子なりに頑張っていても、偏差値が下がることだって十分ありえます。
どのみち偏差値で受験の合否が決まるわけではないのですから、
必要な勉強をやっているのであれば、その偏差値を見て
「頑張りが足りない!」などと思う必要はないのです。
また、「(志望校の)過去問の点数が伸びていかない」ということがあったとしても、
(もちろん受ける学校のレベルにも、その子の学力にもよりますが)
もし現時点で6割くらいの点数を取れているのであれば、
その学校に受かるのに必要な点数を、この時期としては取れている方かもしれません。
逆に「頑張れば入試問題でも8割9割の点数を取れる」と思われているのであれば、
それは、入試問題の構成をご存知ないだけかもしれません。
もっと言うと、ただ単に「親がもっと安心できる点数を取ってほしい」と思って、
「伸びていない」と言われているのであれば、
それは本人にとってプレッシャーでしかないかもしれません。
親が安心したいがための、親の欲であれば、せめて頑張っている子の手前、
もう少しその気持ちを出さないように我慢してあげてほしいと思います。
そもそも、志望度の高い(自分にとって)難しい学校の入試問題で、
そんな高得点を取れるのであれば誰も苦労しません。
子どもだって、点数が取れなくて落ち込んでいるときに
「全然伸びてないじゃない!」などと隣で言われでもしたら、
そりゃぁブチ切れたくもなると思います。
頑張ってきたからこそ、合格に必要な点数付近まで来られたとか、
まだまだ合格には遠いけれど、やれることを精一杯頑張っていたとか、
そういうところを認めてあげてほしいわけです。
ちなみに、「学力を(さらに)伸ばすにはどうしたらいいか?」
という相談なら、いくらでもされていいと思っています。
要は、今の子どもの学力を「伸びていない」と親が断言してしまうことに、
ちょっとした危うさがありますよというお話でした。