今年最後の毒をはきます

体験記に書いていただくこともあるフレーズであるが、
「サーパスの先生は、親よりも子どものことを知っている」
と、言われることがある。
当然、僕らの方が御両親よりも子どものことを知っているわけがない。
だが、僕らの方が、お父様お母様よりわかるものもあるような気がしている。

それは多分、お父さんお母さんが大人になったことで、
あるいは親になったことで忘れてしまった、
子どもの頃の記憶に関わるところなのかもしれない。

 

「みんなスマホ持ってるよ!」とか、「みんなまだゲームしてるってよ!」
などと子どもが言うと、「みんなって誰よ?」
「人は人、ウチはウチ」(「ヨソはヨソ、ウチはウチ」)
と、ヨソサマがどうだろうと我が家には関係ない!と大人は言う。
だが、なぜか所属クラスやテストの結果では、常に誰かと比較される。
その比較相手は身近な〇〇さんのこともあれば、
見えない「みんな」のこともある。
目の前の両親や兄弟と比較されることもある。

 

あるいは、「弱いものイジメはよくない」と小さい頃から教わってきた。
ところが、成績が下がったりでもすれば、ものすごい勢いで怒られる。
「こんな成績なら辞めさせるよ」などとも言われる。
もちろん、子どもは親の庇護下にいるわけだから、
ある程度は親の方針に従わないといけないと思う。
だから、真面目にやらないなら、辞めさせられることもあると思う。
だが、真面目にやっていたって成績が上がらないことはあるし、
下がることだってある。

自分でお月謝を払えない子どもにとっては、親は絶対的にかなわない存在である。
(多少の口答えはするだろうけれど)逆らえない存在である。
その逆らえない立場に対して一方的にやり込めるのは……。

と、このように、はっきりと言語化はできなくても、
モヤモヤとした不満を抱えているのが子ども時代である。
やり場のない怒りをおぼえているのが子ども時代である。

「自分がされて嫌なことは人にするな」
こんな言葉を(子どもの頃に)かけられる度に、
「そういうあなたはどうなの?」
と、今は大人になった方々も、小さい頃に感じたことはなかっただろうか。

 

まぁ、大人になると、親子の関係はそういうもんだから仕方ないと思ったり、
子どものそんな感情は、ただの屁理屈だと取り合わなくなったりするかもしれない。
だが、そういうモヤモヤした感情の中で、子どもが勉強に集中できるかと言ったら、
それは難しいと思う。