ジレンマ

最近の学校説明会では、卒業後の進路として、
GMARCH以上の合格者数や、理系進学者数をアピールする学校が多い。
(もちろん、偏差値でいうところの高レベルの学校であれば、
国公立や早慶上理の合格者数の方を、よりアピールすると思う。)

なぜそのあたりをアピールするかと言えば、多くの親が、
「GMARCH以上の大学に行ってほしい」とか、
「これからの時代、理系に進んでほしい」とか、
そういうことを願うから、そのニーズに応えてのことなのだが、
一方で、GMARCHには理系の学部が少ないという問題点がある。
しかも、例えば、明治の理工学部などは、
偏差値だけでいったら、国立の筑波大や横浜国大よりも上である。
だから、理系でGMARCH以上という2つの条件を同時に満たすことは結構難しい。

つまり、理系教育に力を入れることが求められてはいるものの、
あまりそちらばかりに意識を向けすぎて、
生徒を理系進学に導く形になってしまうと、大学入試がきつくもなる。
そういうジレンマを学校も抱えているのだ。

 

今日は、毎年おこなっていただいている神奈川学園の説明会の日だった。
神奈川学園ももちろんこのジレンマを抱えているが、
GMARCH以上の数も安定しているし、今年は理系進学者の割合も増えた。
特別なことはしていないし、理系に導いたりもしていないというが、
将来文系に進むことになるとしても、
理科や数学の教育「理数教育」は大切にしようと考えているという。

 

個人的には、こういう考え方はとても好きである。
文系に進むなら数学や理科は不要だとか、理系に進むなら古典や歴史は不要だとか、
文理選択する高校2年くらいからは、受験に必要ない科目の勉強時間は無駄だとか、
大学の推薦を取るためには、学校の成績が高い方が有利なのだから、
点数の取りにくい科目は取らない方が有利だとか…
受験のテクニックでいえば、そういう考え方がきっと正解で、
神奈川学園のような考え方は、割に合わないのかもしれないけれど、
どっちが好きかと聞かれたら、神奈川学園の考え方だ。

だけど、一方で、そんなに勉強勉強しなくても…と考える人や
中学入ったら、勉強より部活を頑張りたい!と思う人、
あるいは、大学(受験)は推薦でいいや!と思う層も
必ずいるはずなので、そこがなんとも難しい。

神奈川学園のこの姿勢や勤勉さは、もちろん長所であるのだが、
(人によっては)そうでない部分でもあるのかもしれない。
まさにジレンマである。