ある生徒が、卒業生(栄光出身)にたずねた。
「どういう勉強をしたら栄光に入れますか?」
小さな塾なので、卒業生が進学したことのない学校もあるが、
こういう質問を先生にではなく、歳の近い卒業生、
しかも自分の憧れている学校に通っていた、同じ塾の先輩にできるのは、
ウチのような小さな塾の良さだと思う。
とはいえ、その卒業生も、その生徒を教えているわけではないので、
その子の学力や現状の課題については知らない。
だから、その子が求めている答えを返せるとは限らないのだが、
かといって、当たり障りのないことを言っても味気ないし、
なによりも、そこで誰でも言えるような返答をしてしまっては、
質問した子の気持ちに沿わない。
返事をするまで、ほんの1、2秒。卒業生は、
「(算数で)何通りかを聞かれる問題で、例えば4通りの答えがあるのはわかった。
栄光は、ここでもう1歩進んで、5通り目の答えがないことを確認して、
説明できないといけない。5通り目は本当に無いのか?と考えないといけない。」
と、このような返事をしていた。
質問した生徒が、このような返事を期待していたか?というと、
そうではなかったかもしれない。
ひょっとしたら、やっておいた方がいいテキストなど、
もっと実利的なアドバイスを聞きたかったのかもしれない。
しかし、私からすると、「お見事!」と言いたくなる秀逸な回答だった。
算数の話をしているようで、算数以外にも通じる。
とりあえず、答え(だけ)は出せました!
自信はないけど、これで合ってますか?
というような浅い思考は、栄光が最も好まないところであると思う。
入試の日、とりあえずで出した答えであっても、
それが合っていれば、合格はできるかもしれない。
だが、それは運の要素が強い。
受験を運頼みにしないように準備をしたいのであれば、
先ほどの回答を瞬時にできるところも含めて、
栄光に(入るのに)必要な姿勢を感じてもらえると良いように思う。