とはいえ、良くないものは良くない

宿題を多く出そうが、テストを毎週おこなおうが、
その成績順に座席を決めようが、それは各塾のスタイルなので、
口を挟むところではない。各塾の好きなようにすれば良い。
質問を聞かないのも、私語厳禁にするのも同様で、
そのやり方を各家庭が好むか好まないかで選択すればいいだけの話だ。

 

だが、そうは言ってもやはり、何でも好きにしていいとは思えない。
良くないものは良くない!と思う。

例えば、他塾に通っている子どものことを悪く言う塾や先生は良くない。
小学校や、小学校の先生を、一様に下に見る塾や先生も良くない。
自塾がどれだけすごいか、自分がどれだけ優秀な先生であるか、
を手っ取り早くアピールするには、他を落とすのが一番簡単で楽であるが、
子どもに対してそのやり方を取るのは違う。

数ある塾の中で一番良い塾なのは、自塾で間違いない!
という思いで仕事をするのは悪いことではないと思うし、
自塾のやり方を良いものと思っていれば思っているほど、
他塾のやり方に対して、そのやり方は良くないと思うこともあるだろうけれど、
だからといって、他塾に通っている子どものことを、
自塾の生徒の前で悪く言うのは、絶対に良くない。

いわゆる偏差値の高い学校に合格者を多数出していたとしても、
「平家にあらずんば人にあらず」のような態度を取るのは良くない。
自塾の生徒に向かって、「〇〇(他塾)に通う生徒なんて…」
と小バカにするようなことを言えば、その話を聞いた子たちは、
先生の真似をして、他塾の生徒を小バカにするようになるかもしれない。

 

受からせさえすれば、塾が何をやってもいいとは思わない。
自塾の生徒に自信を持たせ、入試当日、変に緊張しないように…と思ったとしても、
他塾の生徒を貶めるようなことを言うのは違う。
他塾の生徒であったとしても、
最後までやり切ってその日を迎えた子どもたちの頑張りを
リスペクトできない先生や塾は、言葉を選ばずに言うなら、人として残念である。

いやいや、勝てば官軍、受からせたもん勝ちだろう!
という考え方の塾や御家庭もあるのかもしれない。
だが、塾に通える、私立に通わせてもらえるという恵まれた環境にいる子たちが、
勉強する過程で、人のことを思いやるどころか下に見るようになる。
そんな学力優秀層がたくさんいる未来には不安しかない。