仕事から帰って、なんとなくテレビをつけた時に、
料理研究家の和田明日香さんが、
「豆腐(冷奴)に合うタレ」というテーマを突然与えられて、
「ナスのとろとろダレ」というタレを考案していた。
冷奴には、鰹節とショウガを乗せて、醤油をかければ十分だし、
そもそも手軽に食べられるのが冷奴のメリットなのに、
わざわざ手間をかけるのはどうなの?と、いつもなら思いそうなところだが、
このタレはとても美味しそうだった。
さて、「冷奴に合うタレ」と言われて、料理の素人ではナスを使う発想は出ない。
せいぜい、ポン酢?まさかのソース?
と、液体状のものをイメージする程度の思考できっと終わる。
突然、お題を言い渡されたのに、その場でそんな料理を思いつくなんて、
発想力がすごいな!と思う。
でも、これって、全くの0(ゼロ)からの発想ではなくて、
経験に裏打ちされた発想であることは、おそらく間違いないと思う。
「どうやったらナスを使おうという発想が出てくるのですか?」
と聞かれたとしても、一朝一夕で身に着く方法なんて答えられないと思う。
算数を教えていて、「そんな補助線思いつかないよ!」と言われることがある。
「どうやったら、そんな解き方思いつくの?」と聞かれることもある。
大きく分けて2種類の解き方があって、
問題によって、どちらの解き方が良いかを判断しなくてはならない場合に、
「どうやって解き方を見分けるの?」という質問も、よく出る。
また、難しい問題をスラスラ解く先生はすごい!とか、
算数の得意な友達のことを『天才!』などと思うこともあるかもしれないが、
オギャーと生まれて、その後何の努力もせずに、
算数をスラスラ解けるようになったわけではない。
「ハウツー(how to)」が溢れすぎている時代である。
ネットで検索すれば(本すら読まずに)、大体のことは、やり方がわかる。
試行錯誤もいらない。失敗することなく、正解だけを選び取ることができる。
よく言えば、一切の無駄がない。
そんな時代だから、「どうやったら答えが出せるか」を聞くことに躊躇が無い。
自分では何も試さずに、楽して正解だけを得ようとする。
だけど…そんな簡単に手に入るものに大した価値はない。
結果(成功体験)も大事だとは思うけれど、
やっぱり何度も失敗した方がいいと思う。
失敗するにも、自分でやってみるしかない。