「おぼえられない!」

「ウチの子、暗記が苦手で…」程度の相談は日常茶飯事で、時には
「学習障害でしょうか?」とまで聞かれることもあります。
とりあえず言えることは、思考力や理解力に比べて、
『記憶力に個人差はほとんどない』ということです。

仮に、実の親御さんに障害を疑われるほど、暗記が苦手な子であっても、
友達の名前や、その日食べたもの、あるいは好きなアニメのキャラクターなど、
おぼえているものはたくさんあるはずです。
(※上記の理由で、学習障害でないと言っているわけではありません。
おぼえられることはあると言う話です。)

しかし、そうは言っても、暗記の得意な子と苦手な子がいるのは事実です。
では、その差はどこからくるのでしょう。

一言で言ってしまえば、暗記の得意な人は、
暗記の仕方のコツを身に着けているということです。

おぼえ方(方法)については、人それぞれです。
大きな字で1回書く、声に出しながら書く、歩きながら口ずさむ、
目につくところに貼りまくる、とにかくおぼえられるまで書き続ける…などなど。
漢字なら例文と一緒におぼえる、社会であればストーリーにしておぼえる。
こういったことも有効だと思います。

このように方法は様々ですが、どの方法が良いとか悪いとかよりも、
おぼえる時の気持ちが大切なのだと思います。

まず、「おぼえられない!」と言っている人ほど、
嫌だなぁ、めんどくさい、苦手だなぁ、どうせできない、
そもそもなんでおぼえなきゃいけないんだろう? ハァ〜(ため息)
と、やりたくないオーラ全開で勉強している場合が多いと思います。

その結果、ボォっと眺めているだけとか、何も考えずにただ書いているだけとか、
そういう中身のない勉強をしているのではないでしょうか。
(やってもおぼえられないから!と言って、やらない子も多いですね。)

逆に、暗記の得意な子は、そういう気持ちでやっていないのだと思います。
そして、もっと根本的なことで言うと、暗記の得意な子は、
そこで初めて得る知識を、驚きや感動を持って受け入れているから
おぼえることに時間がかからないのだと思います。

例えば、道路にある信号機。
左から順に青→黄→赤と、一番右に赤がある理由は
「街路樹の葉が伸びたとしても、赤は見える(隠れない)ように!」
(日本では、車は 左側通行です。)
と、そういうことらしいのですが、これを「なるほど!」と目をキラキラさせて聞くか、
「へぇ」で終わらせるか、そもそも興味がなくて聞いていないか。
そういう違いが、まずあるのだと思います。

別に知らなくても日常生活に何の支障もないですけれど、
試しに「信号機の一番右が赤である理由をおぼえてきなさい!」なんてやったとすると、
「なるほど!」と思って聞いた子は、勉強時間0分でもきっと答えられますね。
暗記が得意というより、おぼえようと思ってないうちにおぼえちゃった!
理由がわかっているから、おぼえようと思わなくてもおぼえられる!
のです。こうなれればしめたものですよ。