模試

散々、偏差値を否定してきておいて、では、僕は
偏差値という物差しを一切使わないかというと、そんなことはない。
面談のときには、必ず偏差値表を持って入るし、
現在の学力から予想できる合格可能校を、その表を見ながらお話しする。
中学受験の合格は、偏差値で決まるものではないが、1つの目安として、
このくらいの力を持っているということを伝えるのに、偏差値は使用しやすい。

ただ、それは、模試を受けたらその偏差値になるということではない。
既に述べたように、偏差値は周りのレベルでも変わるものなので、
受けに行く模試の種類によって、当然変わってしまう。
母集団のレベルが高くなければ、僕の(面談で)示した偏差値帯よりも、
偏差値が高く出てしまうこともあるだろう。
もちろん、逆もありえる。
例えば、首都圏模試で偏差値65の子が、開成そっくり模試を受けたら、
(開成を目指す子しか受けない模試なので)
偏差値30台などということも十分にありえる。

また、サーパスのような塾にお通いの生徒にとっては、
母集団云々だけでなく、模試慣れしているかどうかも偏差値に影響する。
問題量だとか、何問目に図形がある(ことが多い)かとか、
そういったことを経験値として持っていれば、対処の仕方は変わるだろう。
雰囲気にのまれることも少なくなるかもしれない。

だが、入試の際に、模試中学を受験するわけではないので、
それへの経験値を増やすことにどれだけの意味があるか、
そこは冷静に判断した方が良いように思う。

 

模試を受けに行くということは、
貴重な休日のうち、半日をテストに使うということである。
テスト(問題)の中で、新しい知識を獲得することもあるかもしれないし、
今までになかった頭の使い方をできるようになるかもしれないから、
それ自体が無駄だとは言わない。
だが、それは相当な目的意識を持って受けた場合の話である。
また、模試の一番の活用方法は、その直しをすることにある。
できれば、テストを受けたその日に直すのが一番いい。
とすると、残り半日もそれに費やすことになる(可能性が高い)。

さらには、余計なお世話かもしれないが一言添えさせていただくと、
〇の数よりも×の数が多いような場合は、問題のレベルが合っていないので、
その直しをすること自体、非効率な勉強法ともいえる。
それなら、休日を使って、おぼえものや復習をした方が良かったかもしれない。

せめて試験会場の雰囲気に慣れてくれれば…と思う方もいらっしゃるだろう。
だが、その論理が当てはまるなら、毎週のようにテストを受け続けている
大手塾の子どもたちは、入試当日ほとんど緊張しないと思われるが、
実際は、そんなこと関係なく緊張していると思う。

模試を受けるなら、目的をハッキリさせて受けて(受けさせて)ほしい。