今やる

昨年の広告に『小5の壁』というテーマの文章を載せた。
特に夏期以降に教わる単元は、小学生にはなかなかしんどい単元である。

 

ここを難なくクリアできる子はいい。
だが、大多数の子にとっては、ここの単元は本当にハード過ぎて、
ともすると、心を容赦なく折っていく。
「ついていけない」「私、バカなのかな」「僕、もうダメかもしれない」
僅かな自信も根こそぎ奪っていく。

でも、あまりに傷つくと、心が持たないから、
段々と、無意識にではあるが、現実逃避して自らの心を麻痺させていく。
わからなくても当然だと思うようになったり、わかろうとさえ思えなくなったり。

ただ、機械のように板書を写し、先生の話を聞いている風に装うが、
家に持ち帰った課題が終わらないから、続けていた他の習い事も辞めてしまう。
遊ぶ時間や自由な時間などは全て削って、勉強時間の確保に努める。
そして類似問題をひたすら繰り返す。
傍で見守る親御さんの心も、だいぶ擦り減っている…。

 

と、こうなってしまうのはよろしくない。
今以上に勉強ができなくなりそうな、負のスパイラルに入ることなく、
浮上するきっかけを、以下の話で少しでもつかんで欲しい。

今日のお話。
いつもは、授業時間内、しかも割と短い時間で、
全ての問題を解き終えられる女の子がいる。
しかし今日は、どうしたことか、不調で終わらなかった。

その子は、授業の時間が終わって、皆が帰る中でも席を立たず、
一言も発さず、問題を解き続けていた。
教室に一人残るのは、寂しいかもしれないし、
ちょっとした不安に襲われるかもしれない。
だが、問題を読み直しては、きれいに式を書き、図を描き、試行錯誤していた。
泣いてはいなかったが、悔しそうな表情が見てとれた。

本当にわからないのなら、質問してもいい。
サーパスは、「もう一度教えてください!」と言っていい塾だ。
課題を終わらせたいだけの安易な質問は良くないが、
あんな表情で一生懸命やっている姿を見たら、
教える側だって、何とかしてあげたい!と思うものだ。

その後、彼女は今日の課題を全て解き終えた。
明日に持ち越すことなく、やり終えた。
まだ悔しそうな顔をしていたが、よく頑張ったと思う。