目標の高さ

サッカー日本代表が2011年のアジアカップで優勝した時、

FWの第一人者は前田遼一選手(ジュビロ磐田)だった。

現日本代表監督のザッケローニ氏は、

FWを1人しか置かない1トップのフォーメーションを採用しているが、

このたった1つの枠を前田選手は全6試合、先発出場という形で勝ち取っていた。

しかし、ワールドカップイヤーである今年、

代表FW候補に挙がっているのは、前田選手ではない。

所属しているジュビロ磐田は昨年J2に降格し、年齢的にも32歳と、

逆転は難しいところにいる。

それでも前田選手はまだまだ諦めていない。

(昨年も4月に前田選手のブログを書いたが)、

まだまだ自分はうまくなれると信じている。そしてそのための努力を惜しまない。

元来真面目な性格なのだろう。

前田選手の来歴を調べると、

自分から希望して、勉強して暁星中学に入学。

暁星ではサッカー部に入り、誰よりも早く朝練に行き黙々と練習を続けた。

中学に入った頃は特別うまいことはなかったというが、

真面目に努力し続けた結果、高校3年の時にJリーグ13チームからオファーが来た。

慶応大学への推薦が決まっていたが、悩んだ末、ジュビロ磐田に入団。

ということである。

しかし、そんな前田選手でも、こんな言葉を漏らしていた。

「自分のサッカー人生を10年前からもう1回やり直したい。

それができたら、本田や香川たちみたいに海外へ行くことを目指して

高い意識を持ってプレーできたはず。

彼らを見ていると目標にしているところが自分と違いすぎる。

10年前の僕にはそんなことは考えられなかった。

彼らはホントにすごい」と。

前田選手は前田選手で、本当にすごいと思う。尊敬できる。

しかしその彼に「目標にしているところが違いすぎる」と言われる本田や香川は、

今の日本代表に不可欠の存在である。

タラレバは禁物かもしれないが、

前田選手くらい真面目な選手が10年前にそういう目標を持てていたら…

と思わずにいられない。

目標の高さ、目線の高さ、向上心、具体的な夢…

そういったものが影響することって確実にあるのだと思う。