個人的な話になるが、
近代における3大建築家の1人として名高い
ミース・ファン・デル・ローエの”Less Is More”という言葉が好きである。
直訳すれば「少ないことは多いこと」となる。
一見、頭をかしげてしまうような言葉であるが、
多いことを「豊か」と置き換えると少しはしっくりくるのではないか。
多くを持つことこそが豊かであるという当たり前の価値観。
この価値観が全てなのか?と疑問を投げかける言葉として
個人的に解釈をしている。
もちろん、少ないよりかは多い方がいい。
ただ、物量的に増えれば増えるほど、無意識のうちに
「まぁいいか、まだあるし。」という妥協がうまれやすくなる。
その結果として、1つ1つに通う意思は確実に薄くなる。
自分も大学受験時には、問題集を何冊も解くよりも、
心中する気持ちで1冊の問題集を何度も解け!とよく言われたものである。
今、生徒を指導する身になって同じことを生徒に言っていると、
ふと、その当時を思い出すことがある。
だからといって、少なければ少ないほどいいという単純な話でもない。
ただ少ないだけでは、それは単純な「不足」になってしまう。
意思や信念といった1本の筋が通っていて初めて、
少ないことが豊かになりえると思う。
1つ1つの持つ意味。
これをどこまで思考し、自分のものに出来るかで、
ものごとの捉え方は全くことなるものになるのだろう。