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長めの独り言

2025 10/10
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2025 スナフキン 10月
2025年10月10日2025年12月1日

塾のみならず学校でも、「人がいない!」と言われて久しい。
「少子化ですから・・・」ということではなくて、
先生という仕事に魅力ややりがいを感じる「大人が足りない」のだ。

30年、40年くらい前には、塾・予備校の一大ブームみたいな異様な時期があった。
給与もきっとバブリーだったのだろう。人気の職業の1つだったのではないか。
また、教員採用試験は超超超狭き門で、先生になりたくてもなれない人はいたが、
先生になりたい人がいない時代が来るなんて、当時は想像もつかなかった。


しかし、ときは流れて、先生になりたいと考える人は、

(特に若い人の中からは)だいぶいなくなったようだ。
教育実習に行ってなお、先生になる気はなく、
むしろ実習する前から就職先の決まっている人もいると聞く。
実習生を受け入れる学校や先生、そしてその授業を受ける学生にとってみたら、
どうにも納得のいかない話、ただ負担だけかけられた形なのだが、仕組み上は問題ない。
内定をもらっていたって、教員の資格を取る権利、自由はあるのだから仕方ない。

大学生のアルバイト先としても、先生業は選ばれにくくなっているように感じる。
個別指導塾のように、働く曜日や時間にある程度の融通がきき、
あらかじめ言っておけば、長めの旅行にも出かけられるというところなら、
まだ働きやすいのだろうが、集団塾ではなかなかそうもいかない。
曜日と時間が1年間固定で、長期休みには講習があるのが集団塾の常である。
およそ令和の働き方に合わない。


一方で、令和の状況や価値観に文句を言っても仕方ないと思いつつ、
自分の好きなときに働いて、自分の好きなときに休めるのは素敵なことなのだが、
しかし、そろそろどこかでうまくいかなくなるだろうなとも思う。というのも、
自分は好きなときに休みたいけれど、それを人にやられると不都合を感じるからである。

スーパーでも銀行でも定休日があるのは構わないが、不定休になったら困る。
ネットで頼んだものは、指定した日時に届いてほしいし、
こちらの都合で受け取れなかった場合も、再度指定した日時に迅速に届けてほしい。
自分はそんな働き方をしたくないし、強制されたくないけれど、
自分が必要なことに対しては、ついついそう考えてしまわないだろうか。

 

そういう時代の風潮に合わせるなら、先生も好きなときに休めるようにすべきなのだろう。
それを可能にしたら、先生になりたいという人の数が少しは戻ってくるかもしれない。
だけど、「1月2月にはスキーに行きたい!」「温泉もいいな!」
「夏には涼しい南半球に行きたい!」
「3連勤でちょっと疲れが溜まったから、明日は休むぞ!」
これを先生にやられたら、生徒とその保護者は間違いなく困ると思う。

極端に言ったら、受験直前の塾や予備校、あるいは学校は、毎日開いていてほしいし、
(健康でいてくれるなら)先生にもずっと常駐していてほしいのが、
その時期の受験生や、ご家族の本音だと思う。
もちろん、毎日常駐するのはどんな先生であっても難しいのだが、
しかし、昭和や平成には、そんな先生、そんな塾もそこら中にあった。
また、「数学が、やってもやってもできるようにならない!」
「明日の小テストで満点取れなかったら、内申点が5じゃなくなっちゃう!」
などと泣きつかれて、深夜まで補習してあげたことや、
手当てのつかない状態で休日出勤したことも、ベテランの先生ならきっとあると思う。

その働き方が良いなどと言う気はないし、昔は良かったなどと言う気もさらさらない。
休みは必要だし、サービス残業サービス出勤など、無い方がいいに決まっている。
また、共働き家庭、家事の分担が当たり前な現在、
先生だってそんな働き方には無理がある。



仕事だけでなくてプライベートも充実させたい!というのは、
当然あっていいし、あるべきだと思う。
滅私奉公すべきだなんて、全く思っていないし、
身体を壊して心を病むくらいなら、その環境から離れてでも自分を守ったほうがいい。
ただ、自分を犠牲にしてまで頑張る必要はないけれど、
全員が全員、自分のことしか考えなくなったら、回り回って自分も過ごしにくくなると思う。


例えば、お医者さんや看護師さんなども本当に大変なお仕事だと思う。
(いい表現が見つからないが)変な患者、ルールを守らない患者、高圧的な患者・・・
色々いると思うけれど、彼らは患者を選べない。
嫌になること、休みたくなることもあると思う。
だが、今日は行きたくないからお休みします!とは言えないだろうし、
1ヶ月くらい南の島でのんびりしてこよう!が許容されにくいお仕事だと思う。

医療のお仕事だって、令和の働き方に合わないといえば合わない。
だが、そういう仕事、そういう働き方を請け負ってくれる人がいないと、
僕らの生活は成り立たない。安心して暮らすことができない。

もちろん、その仕事と比べたら、塾や予備校、あるいは学校の先生の仕事が
僕らの生活において緊急性を持つことはないと思う。
だが、緊急ではない分、逆に言えば、常時必要なものと言えはしないだろうか。



先生の働き方が時代に合わなくなっているのは百も承知だけれど、
その仕事を「割に合わない」仕事に位置付けてしまうと、成り手はますますいなくなる。
どこもかしこも映像授業、AIによる授業ばかりになり、
いずれは登校(登塾)するというスタイルもなくなっていくかもしれない。


こういうところでも想像力は大切だと思う。
先生の成り手がいなくても、大人は困らないかもしれないが、
その人の子どもは困るかもしれない。もしくは、孫が困るかもしれない。
または、近い将来、学校に通学したことがなく、集団生活をしたこともない、
そんな子どもたちが(大人になって)社会に出てくるかもしれない。

と、そういう意味で、「好きなときに働けて、好きなときに休める」という
今どきの価値観は、目先の自分の生活にとってはありがたいことであるが、
それが全体として行き過ぎると、困るときがいつかやってくるかもしれないと思う。


「ワーク・ライフ・バランスを捨てる」という、高市さんの発言が話題になった。
表現としては、いささか過激であったと思うし、
揚げ足を取られる可能性の高い、炎上必至の言い回しだったとは思う。
だが、労働時間を超過して働くとか、「心臓を捧げよ」(進撃の巨人より)とか、
そういうことを求めているのではなくて、
例えば、子どもたちが明るく伸び伸びと過ごせるように、あるいは、
自分が(子どもの頃に)受けた恩恵や愛情を、次の世代も享受できるようにと、
自分以外の人の幸せを想う大人がたくさんいれば、
きっと世の中は良くなると思う。
世の中が良くなるということは、自分を取り巻く環境も良くなるということで、
結果、自分も含めたたくさんの人が幸せになるということなのだと思う。

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