Sportiva (スポルティーバ) というスポーツ雑誌で、
元プロ野球選手の立浪氏と野村氏の対談が載っていました。
以下は全4回の対談のうち、第1回の対談です。
第2回以降の対談も興味深いもの
(特に第4回の最後に立浪氏が語る言葉は読んでいただきたい)
ですが、今回は第1回を取り上げます。
(ちなみに下のwebサイトでは過去の記事も保存されているので、リンクを貼るだけでも十分かと思いましたが、突然この雑誌が廃刊されるようなことがあったら…と、一部を抜粋してご紹介しております)
立浪和義×野村弘樹が語る「技術よりも大切なこと」
立浪 小学生、中学生の時は本当につらく、厳しかったという思い出ばかり。今の子どもたちのように土日だけの練習じゃなくて、月水金土日って具合にほぼ毎日。野球が好きだからいいけど、たまには遊びに行く友達をうらやましいと横目で見ながら練習に行っていたなぁ。
野村 そうだよな。オレは家族旅行に行った記憶もない。
立浪 学校の行事である林間学校にさえ行けない時があったからね。
野村 練習に行きたくないなと思う日もあったけど、サボらずに毎日に行くんだよな。腹が痛いとかいろいろ理由を考えるけど、結局、実行できない。
立浪 結局、野球しかなかったからね。今でこそサッカーとか水泳とか他に学べるスポーツがあるけど、僕らが育った時代は、とにかく野球一色だった。
野村 だって、学校の休み時間でさえ、ゴムボールで手打ち野球をしていたんだから。どこまで野球が好きなんだよって(笑)。
―― お二人から見て、現在の少年野球はどのように映りますか?
立浪 子どもたちに野球を好きになってもうらことは大事なことなんですけど、ちょっと厳しさが足りないような気がします。団体スポーツなのですから、協調性や礼儀といったものを、野球を通じて学んでもらいたい。技術ばかりでなく、心も鍛えてほしい。野球教室をしていてもダラダラしている子どもは少なくありません。これは指導者の方々の問題なのかもしれませんが、きちっと言うことは言っていかないと。
野村 今の少年野球チームを見ていると、『野球を嫌いにならないでほしい』という風潮がすごくあるんですよ。僕らの時代は、野球の好きなヤツらが集まっていたけど、今の子どもたちは野球を好きでやっているというより、親から運動しなさいと勧められてやっている子も多い。部員数も減少傾向にあるし、指導者の方からすれば辞められたら困る。だから丁寧に優しく教えるといった指導が多いと聞きました。だけど、タツが言ったように、あいさつや礼儀を徹底させるような最低限の厳しさがないといけないよな。
―― つまり、『野球=楽しいもの』というイメージばかりを持たせようとしていると。
野村 好きになってもらうことは大事なことですけど、でもオレたち、楽しんで野球なんてやったことないよな。
立浪 うん。楽しんではやれなかったな
野村 高校生はもちろん、プロの選手でさえ『楽しんで野球やっています』って平気で言いますからね。ある意味、そんな風に思えることがうらやましい。
立浪 ただ、失敗や苦しさの先にある勝利は、他のどんなことよりも嬉しい。だからこそ、厳しい練習にも耐えられたんだと思う。本当の喜びを味わいたいのなら、絶対に『楽しい』っていう言葉は出ないと思うんだけどな。これも時代なんだろうね。