寺野典子さんの書いた、サッカー日本代表FW前田遼一選手の特集の中で、
前田選手はこう語っていた。
「俺は『今、スランプです』って言える人がすごいなと思う。
俺はうまくいかないときはただ自分が下手なだけだと考える。
(中略)
実力がないから、うまくいかないだけなんだと思っている。」
「今の俺の実力のままだとW杯のピッチには立てないと思う。
それは普通に自分の実力を見て感じる。
この年齢だけど、ここから、ひとまわりもふたまわりも成長しないと、
W杯へ行けるとは思えない。」
「どうすれば、もっとすごいプレーができるようになるのかと、
いろいろ考えるんだけど、その方法がわからない。
結局毎日の練習で頑張るしかないってことに行きつく。
今までもそうやって、少しずつ上達してきた。
これからも伸びていく自信はある。
緩やかかもしれないけど、伸びる自分を信じているから、頑張れる。」
その前田選手の発言を受けて、寺野さんは
「自身を下手だと言い切る前田に謙虚さは感じられない。
下手だから向上の余地があり、未来や可能性が広がっている。」
と述べられていた。
自分が天才ではないことを知り、
自分にずば抜けた武器がないことも受け入れた上で、
しかしそれをネガティブに捉えて絶望することなく、
伸びしろ(成長の可能性)が他の人よりもたくさんあると
ポジティブに捉えられるのは、それだけでも素晴らしいことだと思う。
日本代表のFWとして試合に出られる人数は、
今のザッケローニ監督のもとでは一試合中せいぜい2人。
その2人の中に選ばれているのだから、
前田選手がものすごい実力なのは誰の目から見ても間違いない。
それだけの力がある選手が、こんな気持ちでいるというのを知ることは、
サッカー以外のことにも応用できると思う。