サーパスでは、6年生であっても、上位クラスであっても、
授業の中で基本のおさらいをすることが少なくありません。
「6年生にもなって、そんなことやるの?」と思われるかもしれません。
でも、やります。
というか、むしろ6年生だからこそ、やります。
例えば、4年生の授業内容なんて、さすがに簡単すぎるだろう、
基本的すぎるだろうと思われるかもしれません。
ところが、その基本的な知識や考え方がきちんとしていないと、
そのあとに、いくら難しいことをやっても積み上がらない、ということがあるんです。
大体、4年生のころの勉強に対する意欲や意識、あるいは精神年齢を
思い出してもらえれば、なんとなくわかると思います。
4年生ですよ。
今の6年生と比べたら、そりゃもう、いろいろと適当です(笑)。
「ちゃんと覚えてね」と言われても、
「はい!」と元気よく返事だけして、その日のうちにきれいさっぱり忘れる。
そんなことも、まぁ、あります。
4年生のときに教わったことを、
「覚えていて当然」「身についていて当たり前」としてしまっていいのか。
多分、全然よくない。
だからサーパスでは、必要に応じて、4年生でやったような内容も、
6年生の授業で扱い直します。
ただし。ここには、とても大事な条件があります。
毎回毎回、同じことを教え直していたら、先に進めません。
以前はよくわかっていなかった。なんとなく暗記していた。
よくわからないけれど、答えは出せていた。
でも、今回、もう一度ちゃんと説明してもらった。だったら、
「よし、今度こそマスターしてやる!」と思ってほしいんです。
大げさに言えば、覚悟を持ってほしい。
「また忘れたら、先生に聞けばいいや」ではなく、
「ここで教えてもらったんだから、もう次は自分でできるようにする!」
という気持ちです。
サーパスは、何度質問してもいい塾です。これは間違いありません。
わからないまま帰れ、なんてことは言いません。
でも、「何度でも教えてくれる」と、「何度忘れても大丈夫」
は、全然違います。
ここを一緒にされると、だいぶ困ります。
実際、こんなことはよくあります。
夏前、GWが明けたころに、私はこんな話をします。
「今日から総復習を少しずつ始めるよ。
どんなに些細なことでも、簡単に思えることでも、
『よくわかんないな』『ちょっと怪しいかもな』と思ったら、
授業中でも授業後でも聞いていいからね。
そうしたら、1から説明する。だから、そこでちゃんと納得するまで聞いて!」
「で、ここからが大事。
聞いたことは、ちゃんと復習して、そのタイミングで身につけること。
『聞いたら思い出した!』『もうわかった!』と思って復習をサボらないこと。
『いつかやろう』と後回しにもしないこと!」
「同じ説明を何度も何度もしていたら、入試までに教えたいことを
教え終わらないでしょ?だから、このタイミングで聞いたことは、
もう聞かなくて済むように、そのときにマスターしちゃおう!」と。
でも、そうそう思い通りにはなりません。
ある日の授業で、基本中の基本だけれど、とても大事な問題のおさらいをする。
そのときに、
「もう、この授業はこれで最後!二度とこの授業はしないから、
集中して聞いて、今ここでマスターして!」と念を押しておく。
そして翌週。あるいは翌々週。しれっと同じ問題を出してみる。
すると、解けない子がいる。
「復習は?した?」と聞く。
すると、黙る。
……その沈黙、だいたい答えを教えてくれています(笑)。
「今度こそ、本当にこれが最後だよ!」と、もう一度説明する。
その場では解けるようになる。
「よし、今度こそ大丈夫だね」と言って終わる。
そして夏期講習中。また、しれっと出す。
すると。……また解けない。
一応、補足しておきます。
難しい問題ではありません。4年生でも解けるような基本問題です。
目の前で解けるようになったことも確認しています。
能力的に厳しい、ということは考えにくい。
つまり、「教えてもらったことを、自分のものにする」
という部分が、まだ弱いんですね。
さて。ここで、もう一度教えるのが正解なのか。
ちなみに、教え直すのにかかる時間なんて、せいぜい2、3分です。
こちらにとっては、全然負担ではありません。
むしろ本人に考えさせるより、
「こうやるんだよ」と教えてしまった方が、ずっと楽です。早いです。
先生も楽。
子どももその場では楽。
お母さんも家で怒らなくて済む。
三方よしです。
……でも、長い目で見ると、そうでもない。
「解き方を忘れちゃった」ということは、もちろんあります。
人間ですから、忘れます。私だって忘れることはあります(笑)。
でも、「忘れちゃった」と言えば、すぐに教えてもらえる。
「できない」と言えば、誰かが助けてくれる。
これを繰り返してしまうと、
「忘れたら、自分で思い出す」ではなく、
「忘れたら、誰かに聞けばいい」という学習になってしまう。
それでは、自分でできることが増えていきません。
6年生ですからね、それでは良くないと思います。
だから私は、「教わること」だけではなく、
「振り返ること」も上手になってほしいと思っています。
以前、だいぶ昔の生徒で、こんな子がいました。
塾から家に帰ると、ホワイトボードを取り出す。
そして、その日の授業を、お母さん相手にもう一度やるんだそうです。
先生がどんな図を描いたのか。
どんな順番で説明したのか。
どんな言葉で補足したのか。
なんなら、授業中の雑談まで再現する(笑)。
お母様から、そんな話を聞きました。
雑談まで再現する必要はありません。
先生としては、そこまで復習されると、ちょっと恥ずかしい(笑)。
でも、これができるということは、授業をかなり正確に吸収できていたということです。
最近よく聞く言葉で言えば、「リトリーバル学習」。
教わったことを、もう一度自分の頭の中から引っ張り出してみる。
「先生、何て言ってたっけ?」
「この図、どうやって描いたっけ?」
「最初に何を考えたんだっけ?」
こうやって思い出す。そして、自分で再現してみる。
これができるようになると、ただ授業を「聞いた」だけで終わらず、
授業で教わったことが自分のものになっていきます。
そして、何度教えても「解き方を忘れました」という状態にもならなくなる。
……とはいえ。ここまで読んで、
「先生、それはわかりますよ。理想はね」と思ったお母さん。
はい。わかっています。
理想はいいから、今の家の中の惨状をなんとかしたい!
もう耐えられない!そういうご家庭があることも、ちゃんとわかっています。
家に帰れば、「わかんない!」「できない!」
「解き方忘れた!」「質問しても教えてくれない!」
毎日のようにこれが続く。
そうなったら、お母さんだって、
「お願いだから、わからないことは全部塾で解決してきて!」
となるでしょう。
家族みんなが穏やかに過ごすためにも、そう願うのは当然です。
ところが、サーパスでは、あえて「すぐには教えない」ことがあります。
塾での様子を見ていないお母さんからすれば、
「ウチの子、冷遇されているのでは?」
「他の子は教えてもらっているのに、ウチの子だけ教えてもらえないのでは?」
と不安になるかもしれません。
でも、そういうことではありません。こちらも、こちらで苦渋の選択なんです。
と、さらにここまで読んで、「ウチのことかしら?」
「どこかに監視カメラついてる?」と思った方。
安心してください。
……いや、何の安心にもならないんですけど・・・
「ウチのこと?」と思った方は、あちらこちらにいます。
ウチだけが特別に大変なのではありません。
程度の差こそあれ、多くのご家庭で、同じようなことが起きています。
受験勉強なんて、多かれ少なかれ、そんなものです。
それまでの人生ではかけられたことのないような負荷、
自分の(今の)能力より少し上の負荷をかけられたら、
平静を保てなくなっても不思議ではありません。
負荷をかけなければ、そんなことにはならないかもしれない。
でも、一生、負荷のかからない人生を送れるとも思えません。
中学受験をしなかったとしても、いつかは、
自分にとって簡単ではないことに向き合うときが来ます。
だからこそ、私は中学受験を、単に「合格するための勉強」
とは考えてほしくないと思っています。
「わからない」「できない」「もう無理」
となったときに、そこからどうするのか。
一度落ち着いて、教わったことを思い出してみる。
もう一回やってみる。
それでも無理なら、どこがわからないのかを整理して質問する。
そうやって、自分で乗り越えられる範囲を少しずつ広げていく。
それも、中学受験を通して身につけてほしいことの一つです。
もちろん、あちこちのご家庭で、大小の噴火や爆発が起きていることは承知しています。
そして、それに特にお母さんが参っていることも、わかっています。
毎日のように続けば、本当にしんどいと思います。
「もういいから、先生、教えてあげて!」と思う気持ちも、よくわかります。
それでも、安易に手を差し伸べてしまうと、
受かるものも受からなくなってしまうことがある。
何より、その子自身の成長する機会を奪ってしまう。
「先生たちは他人事だから、そんなこと言えるんでしょ!」
と思われるかもしれません。
でも、本当に他人事なら、むしろ、さっさと教えてしまいます。
その方が、先生だって楽です。教えれば、その場では解決します。
子どもも落ち着く。
お母さんも少し楽になる。
先生も次の授業に進める。
それでも、あえて待つ。
なぜなら、「今、教えてしまうこと」よりも、
「この子が自分でできるようになること」の方が大事だからです。
だから、サーパスが「すぐには教えない」ことがあるときは、
「教えてくれない」のではなく、
「今は、自分でできるようになるのを待っている」と思ってください。
もちろん、ずっと放置するわけではありません。
必要なときには、ちゃんと助けます。
何度でも質問していい。
でも、「質問できる塾」であることと、
「質問すれば全部やってもらえる塾」であることは違います。
そこを私たちは大切にしたい。
子どもが自分の力で一歩進めるようになるまで待つ。
実は、これ、教える側にとっても、結構しんどいんです。
さっさと教えてしまった方が、ずっと楽ですから。
だから、「教えない」のではなく、「今すぐには教えない」。
その数分、その数回、その我慢の先に、
「自分でできた!」が増えていく。
私は、その「自分でできた!」を増やすことこそ、サーパスの仕事だと思っています。
