人気があって偏差値の高い女子校や共学校の説明会には、
話の上手な広報の先生がいるイメージがある。
以前にも書いたことがあるが、普段から女子を相手にしている学校の方が、
(お母さんの参加が多い)説明会での話し方はサービス精神に溢れているように感じる。
最近増えている「国際」を冠する学校も、そのあたりが上手だなと思うことが多い。
もっと言えば、そうした学校では、いかにも学校の先生というタイプではなく、
営業職なら成果を上げていそうな人や、清潔感のある人など、
見た目や話し方も含めて広報担当を選んでいるのではないかと思うことさえある。
話に引き込まれすぎて、このまま聞いていたら、壺や絵画ほど高額でなければ、
英会話教材くらいなら買ってしまいそうな気分になることもある。
しかし、どれだけ話に感銘を受けたとしても、
その学校を受験するかどうかを決めるのは保護者と本人だ。
説明会の場で何かを契約させられるわけではない。
だからこそ、学校説明会はできるだけ多く足を運んで損はないと思う。
複数の学校を見ると迷いが生じることもあるが、それはむしろ健全なことだ。
比較検討して初めて見えてくるものがある。
そして比較するなら、似たような学校ばかりを見るよりも、
あえて毛色の違う学校を見る方がいい。
たとえば、我が子が「共学がいい」と言っていたとしても、
保護者は女子校(あるいは男子校)の説明会にも足を運んでみる価値がある。
違いが明確になるし、子どもの考えは成長とともに変わることもある。
また、成績や入試日程との兼ね合いで、
当初思い描いていた学校だけでは選択肢が足りなくなることもある。
さらに、第一志望校に届かなかったとしても、
保護者が事前に見つけていた「この学校は我が子に合いそうだ」
と思える学校があれば、それは大きな支えになる。
もしものときに備えることは、子どもには難しい。
だからこそ、大人がやるべき仕事なのだと思う。
受験では、志望校を考えることと同じくらい、
「その先の選択肢を準備しておくこと」が大切だ。
そして、この考え方は、実は塾選びにも当てはまる。
入塾を検討するとき、多くのご家庭は第一候補の塾だけを見て決めてしまう。
しかし、本来は学校選びと同じように、地域の他塾にも足を運び、
それぞれの特色を知っておく価値があると思う。
もちろん、転塾などしないで最後まで通い切れるのが理想だ。
ただ、受験は何年にもわたる長い道のりであり、途中で状況が変わることもある。
成績の推移、子どもの性格との相性、学習内容との適合など、
入塾時には見えなかった課題が出てくることも珍しくない。
そんなとき、他の選択肢を何も知らない状態では、
「今のまま続ける」か「不安を抱えながら続ける」かの二択になってしまう。
一方で、あらかじめ複数の塾を見ていれば、「こういう選択肢もある」と冷静に判断できる。
転塾を前提に考える必要はない。選択肢を知っておくこと自体がリスクヘッジになる。
子どもは、友達のいる、通い慣れた環境を離れたがらないし、
大手塾から移ることに(敗北感まで感じて)抵抗を感じることもある。
だからこそ、保護者は感情論だけではなく、客観的な情報を持っておきたい。
子どもの気持ちを尊重することと、すべての決断を子どもに委ねることは違う。
親が担うべき役割は、塾の先生の代わりに勉強を教えることではなく、
将来起こり得る様々な可能性に備え、選択肢を準備しておくことではないだろうか。
学校選びでも塾選びでも、
「今、一番気になるところ」だけを見るのではなく、幅広く見て比較しておく。
その積み重ねが、結果として受験のリスクヘッジにつながるのだと思う。
