その子は、中学受験時に第一志望校合格の夢が叶わなかった子でした。
しかも、第一志望ともう1つの学校しか受けなかったので、
結果として、そのもう1つの学校に進学することになったのですが、
その学校は、その子やご家族が希望した学校ではなくて、
私(たち)が「きっと合っていると思う」と、オススメした学校でした。
受験において、行きたい!と思える学校が1つしかないというのは、
実は、そんなに珍しいことではないように思います。
しかし、本人が(あるいはご家族が)そう言うからといって、
1つの学校しか受けないことが、はたして本当に良いことなのでしょうか。
合格できれば最高ですが、反対の結果だったときのことを考えれば、
最終的に公立進学を選択するとしても、
どこかしらの合格は手にしておいた方がいいと思っています。
ここは、大学受験と違うところだと思います。
もちろん、考え方や価値観は様々ですから、自分が正しいとか、
そういうことを言うつもりはありません。
ただ、せっかく頑張ったのだから、何かしらの結果を手にできた方がいいのではないか、
自分のレベルがどのくらいだったのかを知れた方がいいのではないか、
合格が1つでもあれば、その基準がわかるのではないか、そんなことを考えています。
また、実際に通うことになったとしても、その学校はその子にきっと合っている!
第一志望校よりもむしろ、ちゃんと見てくれるから!と、オススメしたのです。
その後、月日が流れ、その子はその学校を卒業し大学生になったのですが、
そのタイミングで、その子からだけでなく、
お母さまからもご連絡をいただくことができました。
以下は、お母様からそのとき初めてうかがった話です。
中学受験が終わった後、部屋に隠れてその子が泣いていたこと。
第一志望ではない学校への進学だったので、最初は前向きでなかったこと。
しかし、そこでできた友人や、先生との出会いはかけがえのないものになったこと。
大学受験では、自ら掲げた目標に向かって(一般受験で)頑張り切ったこと。
中学受験時に第一志望校以外の受験校を決めかねていた中で、
その学校を勧めてもらって良かったと思っていること。
第一志望に届かなかったことで、ヤル気も自己肯定感も失い、
中学以降頑張れないことはあるように思います。
しかし、この子は見事に立ち直り、自分で目標を設定して頑張る6年間にしました。
第一志望に届かせられなかったことを(塾として)美談にはできませんが、
環境から受ける影響は、少なくないことを踏まえてオススメしたのが、
本日説明会を開いていただいた神奈川学園でした。
『「自立」と自分の中に「軸」を作るための第一の条件は、
まず学校が「安心の場」であること。
2人担任制を採用し、複数の眼で一人ひとりの成長を見守ります。』
と学校パンフレットに書かれてありますが、
大人が適切に関わり、支えているところが、神奈川学園の安心感であり、
信頼に繋がるのだと思います。