中学受験塾に子どもを通わせる家庭のご両親は優秀な方であることが多い。
(高校受験を選択する家庭を優秀でないと言っているわけではありません!)
優秀であるがゆえに、「自分はできた」「逆になんでこれができないんだ?」
と、無意識に、悪意なく上から目線で見てしまうことがある。
2つ前のブログのお母さんの例で言えば、
聞き分けの良い長女しか育てていないときのモノの見方である。
「私(親)は国語で困った経験がないのに、何でこの子は…?」
「算数なんてその場で考えたらわかるじゃないか!」
「こんな簡単なことができないなんて、もしかして〇〇があるんじゃ?」
このようなことを聞かれることが、まぁまぁな頻度である。
あるいは、中学受験塾に子どもを通わせてはいるけれども、
中高と公立に通って、そこからいわゆる有名大学に入ったような優秀なお父さんが、
実は中学受験に反対というケース。これもよくある。
「公立からでも自分の頑張り次第で大学には行ける」
というご自身の経験から、
「どうしても私立受験したいなら、偏差値〇〇以上!」
と条件付きの中学受験になる。こういうケースもまだまだ多い。
また、第一志望の学校に合格したという経験をお持ちの方も、一歩間違えると危険である。
すなわち、「一生懸命頑張ったから合格できた」「努力が報われた」という経験が飛躍して、
「合格しないのは頑張りが足りない」と、こういう思考になるのである。
ここについては、自分にできる最大限の努力をしたけれども、
残念ながら目標に届かなかったという経験をお持ちの方と、
全く違った人生観になることが多い。
経験したことのないものに対して、想像力を働かせるということは非常に難しい。
しかし、難しいことではあるのだが、そこに想像力を一切働かせることなく、
自分の経験のみから、上から目線でアドバイスをしたとすると、
そのアドバイスでは、相手を傷つけることはあっても、賛同は得られない。
心を揺り動かすような効果は無い。
2つ前のブログで言うなら、外で騒いでいる子の親に向かって、
「一体、どんな躾をしているの?」などという言葉を浴びせたとして、
その後、何か良いことが起きるかどうかを想像したらわかると思う。
1つ前のブログの上司が、「簡単に休むな!」などと言ったとしても、
その相手にはもちろん、会社にだって、何の良いことももたらさない。
その言葉を発した人には、言ってやった感があるかもしれない。
これだけ言ったら改めるだろうみたいなことを思うかもしれない。
だが、自分は100%正しい、みんなそう思っている!と言わんばかりに、
相手が変わることだけを求める態度で発した言葉、しかも強めの言葉で、
状況が良くなった試しがあるだろうか。
それを理解できない上司なら、結局、大した上司ではないと思う。
つまり、結論としては、入試まで残り1か月を切ろうとしている今、
言わずにはいられない、言ってやったぜ!感は、
全くいらないということである。