偏差値にとらわれる①

偏差値とは、少し雑な言い方にはなってしまうが、
50を基準として、平均(点)との差で出される数値である。
すなわち、偏差値が50より上であれば、平均(点)より上であって、
逆に偏差値が50より下なら、平均(点)に届いていないという、
まぁそんな感じのものだ。
だから、自分以外の人がみんな100点で、自分だけが99点だった場合、
平均点は99点より上(100点に近い点数)になるため、
自分の偏差値は50よりも低い数字となる。

こんな極端なケースはありえない、馬鹿馬鹿しいと、鼻で笑うかもしれないが、
もし、自分にとっての悪条件(周りのレベルが恐ろしく高いなど)が揃ったら、
自分の偏差値が0以下の数値になることもありえる。
逆に言えば、母集団のレベルが高くなければ、平均点も下がるので、
同じ99点で偏差値は爆上がりするかもしれない。
(偏差値は100を超えることもある。)

 

わざと嫌な言い方をすると、偏差値を手っ取り早く上げたければ、
自分よりも母集団のレベルが高くないところにいけばいい。
すなわち、中学受験などという、
首都圏に住む小学生の18%弱しかやらない受験から身を引けばいい。

その18%弱の子たちは、遊びたい盛りの小学生のうちから、
様々な誘惑を自分なりに我慢し、折り合いをつけながら、
小学校で教わる内容よりもはるかに高度な勉強をしている、
そういう子たちだけが母集団となる中学受験において、
偏差値50だろうが、40だろうが、すでにものすごく頑張っていると思う。

 

親の中には、「自分は高校受験のときに偏差値70あった!」
などと言う人がいるかもしれない。
だが、子どもたちの名誉のために言わせていただくと、
母集団のレベルが違うのであれば、偏差値は何の参考にもならない。
(高校受験を悪く言いたいわけではないと断っておくが)
例えば、中学受験をする層に、分数の足し算のやり方を知らない子はいない。
だが、高校受験の層には、そういう子もいる。
(大学生にも分数の足し算ができない人が増えたというニュースもあった。)
つまり、高校受験の偏差値と中学受験の偏差値は、
母集団のレベルが全く違う話であって、比較にならない。

蛇足になるが、巷に溢れる偏差値が△△→〇〇にアップ!のような宣伝も
母集団のレベルが高い模試で偏差値がふるわなかった子を、
一定期間指導して、その後に母集団のレベルが高くない模試に行かせれば、
偏差値が上がったように見せることが可能である。
くどくどとしつこいが、偏差値だけでは何の参考にもならないのだ。

 

話を戻すと、中学受験しようとする子たちは頑張っている。
だが、自分がどんなに頑張っても、
偏差値は自分次第で変わるものではなく、他の人次第で変わるものなのだ。
その、自分の努力だけではどうにもできない偏差値で
一喜一憂したり、何かしらの価値を決めたり判断したりするのは、
大袈裟に言ったら、自ら生きづらい人生を選んでいるように思う。