目先、目先のことに執心するよりも

例えば、サピックスは塾業界最大手の塾である。
その中でも、東京校や自由が丘校は、各学年のクラス数が30前後あって、
アルファクラスという選抜クラスも、それぞれ10近くあると聞く。
当然であるが、それぞれの校舎ごとで、クラス替えはおこなわれるから、
同じサピでも、小規模校のアルファと、自由が丘校のアルファとでは、
そのレベルが違う。(そもそも小規模校にはアルファクラスが無いことも。)

都内では、電車で30分以上かけて塾に通うこともよくある話である。
最寄り駅に小規模校のサピがあっても、電車で大規模校に通うこともある。
つまり、わざわざ、苛烈な競争の中に我が子を送り込むのだ。
都内の、サピを中心とした激しい競争の状況が、少し伝わるだろうか。

 

さて、そうしたクラス数の多いところに入塾した場合、
一番上のクラスの子以外は、次のテストで(1つでも)上のクラスに!
と、毎回のテストで小目標を定めるのではないかと思う。
その小目標を一つ一つクリアしていくと、
志望校合格という大きな目標達成が見えてくる…という考え方である。

 

そうやって勉強している子の頑張りを否定するつもりはないが、
だが、その小目標をクリアした先に、本当に志望校合格はあるだろうか。

目の前のことを一生懸命やること、それ自体は必要なことだけれど、
クラスを上げるために、自転車操業のように知識を詰め込んだり、
算数の解法をパターン暗記したりするのは、本当は良くない。
うまくいけば、クラスは上がれるかもしれないが、
そのとき学習したものは、えてして早い段階で抜けてしまう。
親が一緒になって頑張ろうと、家庭教師や個別を併用しようと、
そういうことはよくある。

 

もちろん、前回のブログ同様、大手の苛烈な競争に身を投じてしまったのなら、
そして、今後もそこで頑張り続ける気なら、これしか方法はないのかもしれない。
だが、長い目で見たら、目先の点数や目先のクラスよりも、
正しい勉強法を身に着けることに意識を向けた方が伸びる。

正しい勉強法というと、ざっくりし過ぎていてわかりにくいけれど、
姿勢が悪いよりは、姿勢良く授業を受けるだけでも変わってくる。
できるようになりたい!と思ってみる。
小さく丸まってしまった消しゴムを使うよりは、
少し大きめの消しゴムを使う。これだけでも随分と違う。
イヤイヤやらずに楽しもうとしてみる。
どうせやるなら雑にやらない。丁寧にやる。
後回しにしないで今やる。
そういうところが具体的に変わってくると、特別なフォローをしなくても、
自然と力が着くようになる。