親が何でもフォローできるわけではないというお話

大学受験を考えるタイミングは、塾や予備校を探すタイミングかもしれない。
都内(ここでは山手線内のことを指す)の学校に通っていたら、
中学一年生の時点から塾通いをする子も多い。
鉄緑会、平岡、SEGなどが有名であるが、高校生になると、それ以外でも、
あるいはそこにプラスして、駿台や河合を検討する人が多いと思う。
医学部志望なら、同じ駿台でも、わざわざ市ヶ谷校まで通ったりする。

理系か文系か、国立志望か私立志望か、受験に必要な科目数は…など、
自分の目指すところによって、通う塾、予備校を決めていくが、
同時に、予備校を決める際には、自分の学力やタイプとも相談しないといけない。
すなわち、そのときの学力が低いと、
希望のコースに入れてもらえないこともあるし、
入れたとしても、授業についていけないことがあるのだ。

 

厳しい言い方をすれば、
身の丈に合わない授業を受けても、何も身に着かない可能性が高まる。
10教わったうち5(半分)でも理解できれば、
予習復習で6、7くらいにはできるかもしれない。
6,7までわかるようになれば、
授業内で理解できるものが、(そのうち)もっと増えるかもしれない。
しかし、2、3しか理解できないなら、あるいは、1すら理解できないなら、
かなりキツイ。それでも、そこで実力を上げたければ、
並大抵ではない努力と、折れない精神力が必要になる。

もちろん、身の丈に合わせてくれる個別や、それに近い塾、
あるいは、映像授業のような塾に通うときにも、
本当は、並大抵ではない努力と精神力が必要だ。
なぜなら、身の丈に合わせてくれることを望んだ背景があるのに、
そこからもずっと身の丈通りの勉強をしていては、
成長のスピードも、出口(結果)も推して知るべしになるからだ。
だから、ヤル気と学力との両方に不安のある子が個別を選択するのは、
本当は危険だと思う。後から後から、お金ばかりかかることになるかもしれない。

 

以上のような話は、大学受験の際には、理解を得られるが、
中学受験においては、そうならないことが多い。
カリキュラムの進度が速い大手塾を、とりあえずで選択するとか、
とにかく上のクラスにいさせようとしてしまうとか…。
(オークションで、過去のクラス分けテストを購入する人もいるのだとか。)

それは、子どもの現状足りていない理解を、
親の努力でカバーできると思っているからなのだと思う。
だが、そうやって取れた点数や、その結果で入れたクラスは、
子どもの本当の学力を表すものではない。子ども+親の力である。

また、高学年にもなってくると、そうやって押し上げられた子ども自身が、
今の点数やクラスは、本当の自分の実力ではないことを自覚し始める。
それを自覚できないくらい幼い子であれば、逆にまだ救いであるが、
自覚した子が抱えてしまう「自分はここにいてはいけない」という感覚は、
大きな不安やストレスとなり得る。

点数を取れれば、クラスが上がれば、それだけで自己肯定感が高まるなんて、
そんな単純なことではない。