一方、6年生ともなると、その問題をどうにかこうにか試行錯誤して、
(例えば)10分かけて解いて正解できたとしても、
そのままの力では、残念ながら、入試のときには役に立たない。
時間がかかり過ぎているのだ。
僕は父母会などでも、家庭での勉強時間を短くしてほしいと伝えているが、
それは、勉強しなくていい!と言っているわけではなくて、
短い時間でできるようになってほしい!と言っているのだ。
復習をするにしても、計算練習をするにしても、
時間無制限でなんとなくダラダラとやってしまう人と、
5分でおわらせよう!と自分に負荷をかけてやる人とでは効果が違う。
集中力を自分でコントロールできるようにしておく。
そして、ここぞというときに頭の回転を自分の意思で速めることができる。
そういう練習をするイメージだ。
これができると、いざ、テストになったときに取れる点数も違う。
今の時点で勉強を得意としていない人に対しても5分でやりなさい!
と言っているわけではない。5分という数字に意味があるのではなくて、
自分が精一杯集中して取り組んだらギリギリ終わらせられそうな、
あるいは、それでもギリギリ終わらないくらいの制限時間を設定し、
さらに、1問も間違えないようにやろう!と負荷をかけることに意味がある。
適度な緊張感を持って取り組むことに意味がある。
そしてこれは、図形の問題に限らない。
むしろ、多くの人がどちらかというと億劫に思う暗記物に対してもそうだ。
漢字をおぼえるのが苦手な人や、社会が苦手な人の勉強の様子を見ていると、
本当に嫌そうに、そしてダラーっとした姿勢でやっていることが多い。
眺めているだけの人も多いし、汚い字でなぐり書きの人もいる。
これではおぼえられない。
だが、当の本人は勉強した気でいて、点数が取れないと、
「やってもできない」などと言う。
こういう人は暗記が苦手なのではなくて、やり方が悪いのだ。
どうせやるなら、正しい方法でやるべきだ。
制限時間のあるテストを受けているところを想像してやってみるといい。
イヤイヤ、ダラダラやるのをやめるだけでも随分と違ってくる。