生まれつきの才能のせいにしないで

中学受験において、栄光やフェリスのような学校に合格していく子の中には、
一定数、むしろ経験値的には結構高い割合で、家庭学習時間の少ない子がいる。
「ウチの子、家で全然勉強していないんですが…こんなんで良いのでしょうか?」
と、相談を受けていた御家庭の子が、先のような学校に合格していく。

こういう話をすると、「できる子は元から違う」「地頭の良い子はいいわね」
と、こういう言葉で終わらせられてしまうことも多いが、
この仕事を何年もやってきて、数多くの生徒と接してきた経験から言えることは、
生まれもったものが違うと感じられる生徒は、年に1人もいない。
5年に1人、いや、10年に1人いるかどうか、くらいの割合である。

だから、勉強ができるかどうかを、生まれつきの才能のせいにせず、
どうやったら今よりもできるようになるかを模索して欲しいし、
勉強のやり方(のヒント)を教わったら、素直に取り入れた方がいいと思う。

 

さて、「家で全然勉強していないのに、学力の高い子」について、
なぜ、そんなことが可能なのか、ということであるが、
もちろん、授業内での吸収力が高いことが一番の理由である。
先生の説明を一度聞いただけで理解できる、一を聞いて十を知ることができる、
と、このレベルになってしまうと、「ほら!やっぱり元から違うのよ!」
と言われてしまうだろうが、こんなレベルを求める必要は無い。

大事なことは、先生の説明を一度聞いてわからなければ、二度聞くこと。
二度聞いてもわからないならば、わかるまで聞くこと。考えながら聞くこと。
少なくともわかりたい!と思って聞くこと、わかろうとすることが大事で、
一を聞いて一を知れたら、とりあえずは十分なのである。

家庭学習時間の短い子は、良くも悪くも、面倒くさがりな面を持っていて、
家で長々と机に向かって勉強なんかしたくない!と思っているからこそ、
授業に集中し、授業内で理解しようとするのである。
(ただし、気をつけて!このタイプは大学受験では痛い目をみることも…)

そしてもう一つ重要なことは、
「家で全然勉強していない」と言っても、これは言葉通りの「全然」ではない。
(家庭学習時間がゼロ時間ゼロ分なわけではない。)
仮に、次回小テストがあるのなら、その範囲の勉強は、人知れずやっているのだ。
なぜ、そういう勉強をちゃんとやっているかというと、
例えば、その小テストで悪い点を取ってしまった場合には、
その後に再テストが待っていたりする。
すると、再テストのために、また勉強時間を取らなければいけなくなる。
よっぽど面倒くさいわけである。二度手間で、時間の無駄なわけである。

変な言い方になるが、良い意味で面倒くさがりだから、
必要なところで集中力を上げて、そこだけは手を抜かないのである。

逆に、授業に集中しきれていなくて、先生の説明中も上の空であるとか、
一度聞いてわからなかったところは、家に帰って復習しようと、
その場で理解することを諦めてしまうとか、
さらには指示も守らず、チェックテストの勉強もやったりやらなかったり…
と、こんなやり方の子がいたとしたら、家庭学習時間は長くなってしまう。

というわけで、まずはテレビやyoutubeを視聴しているような、
受け身の姿勢で授業に臨まずに、その場で精一杯闘って欲しい。