漆塗り

漆塗りは、1回塗って終わりではなくて、
何回、何十回と塗り重ねていった方が、美しく、
そして丈夫になると聞いたことがある。
しかも、ただ何度も漆を塗ればいいというわけでもないらしい。
塗る前の下地作りが重要だという話も聞いたことがある。
つまり、雑でもいいから繰り返し塗ればいいという、
そういう単純な話でもないということだ。

流れ作業のように、次から次へと漆を塗ってはいるけれど、
後から確認してみると、塗れていないところがあったり、塗りムラがあったり…
こんな塗り方では、結局、使えるものは1つも無い。
こんなことでは、ただただ時間を浪費し、二度手間三度手間にしただけである。

今日中に塗りたい(塗らなければいけない)器が10コあったとすれば、
頑張って10コ塗り終えようとするだろうけれど、
雑に10コ塗って、1つも使いものにならないよりは、
極論すれば、たった1コでも、丁寧に塗って器になった方がいい。

 

受験までのカウントダウンが進んで、残り○○日という数字を見てしまうと、
どうしても焦ってしまうのはわかる。
やらなければならないことが多すぎると、理解や納得することなく、
ただこなす作業になりがちなのもわかる。
だけど、ちょっと立ち止まって考えてみて欲しい。
今、やったことが身に着いている自信はあるだろうか?
昨日より今日、成長している実感はあるだろうか?

 

やらなきゃいけないことが10あるのに、
ゆっくりやって1しか終わらないのは、さすがに遅すぎるけれど、
1つ1つを丁寧に解き進める(読み落としや計算ミスをしないなど)ことなく、
ただ量だけ増やしても、それは時間の浪費でしかない。

まして、受験学年でないなら、なおさら下地作りが大事である。
こなすだけの勉強にならないように、
急がば回れで、じっくりと、丁寧な思考を積み重ねて欲しい。