「コロナ禍で君たちはよく頑張ってるよ!」
と、生徒を褒めるのは悪いことではない。
今年は、それを理由に、例年とは違う基準で成績をつける学校(先生)が、
結構な数あるようだ。
すなわち、例年なら、せいぜい『4』しかつかない成績に『5』がつき、
『オール5』乱発状態の学校があるという。
一見、良い話に聞こえるかもしれないが、
通知表の成績をつける基準は、それぞれの学校に委ねられている。
だから、例年通りに成績をつけている学校もきっとある。
つまり、入試に内申点が大きく絡む高校入試や、公立の中学入試において、
この差は、同一条件下での受検にならないことを意味する。
頑張りを大いに認めてあげている学校と、例年通りの基準で成績をつけている学校と、
どちらにも何ら非は無いが、後者の学校に通っている生徒だけが、
本人たちの知らないところで、受験のスタートラインから出遅れていることになる。
もちろん、『オール5』の成績を持っていても、
定期テストのような範囲の決まったテストに強いだけで、
入試当日に点数を取るのは苦手というタイプもいる。
しかし、このタイプでも、高校受験では高い内申点を武器に、
偏差値の高い私立を、併願校としてすべり止めにできる。
また、入試当日に点数を取れる自信が無いなら、公立受検校のランクを下げればいい。
そうすれば、高い内申点を持っていることが、ことさら有利に働くだろう。
ここでも、平常通りに成績をつけられた学校の生徒にしわ寄せがいく。
一方で、このことは併願校である私立高校にも影響を及ぼす。
それこそ、併願するには『オール5』に近い内申点が必要な学校に、
(例年より多く)ドッと人が集まることが予想される。
併願校は、基準で示してある内申点を有していれば、
合格になるのが暗黙のルールであるが、
あまりに人数が多すぎれば、何らかの新たな基準を設けて、
合格者を絞らざるをえない(かもしれない)。
現場で指導している学校の先生が責められるのはおかしい。
とはいえ、生徒の立場ではどうにもできないものが、
「仕方ないよね」で済まされてしまうとしたら、それは違うと思う。