本好き

昨年の夏、友人たちと食事会をする機会があった。
その中には、家族で来ている人や、子どもを連れて来た人もいた。
子どもは2人来ていて、どちらも小学生の女の子だった。
確か、1人は6年生で、もう1人は3年生だったろうか。

自分も小さい頃に経験があるが、大人の食事会なんてものは、
子どもにとっては、楽しいものではない(と思う)。
酔っぱらったおじさん、おばさんたちに絡まれるのは面倒だし、
自分の父親や母親の、いつもと違う一面を見るのも気恥ずかしい。
ある程度、お腹が満たされた頃には
早く終わってくれないかな、子どもだけで違うところで遊んでたらダメかな?
と、その場から立ち去りたく思う(ものだと思う)。

この日の2人も、食事が始まって1時間もしないうちに、この会に飽きていた。
違う意味で、おなかいっぱいという感じだった。
すると、6年生の子が鞄からおもむろに本を取り出して、黙々と読み始めた。

読書に適した環境では全くなかったのだが、いい集中力で読んでいた。
ページをめくる速さ一つとっても、本を読み慣れているのがわかる。
後で何を読んでいるか聞いたら、今月の新刊だという。(題名は失念。)
本が好きで、お母さんと一緒に本屋に行っては新刊を物色し、
買った本は、2人で回し読みをするのだと教えてくれた。

 

食事会の終盤で、そのお母さんが中学受験経験者で、
日本女子大附属に通っていたことがわかった。それで合点がいった。
日本女子大は、高校からでも入れるのだが、
高校から入るのと中学から入るのとでは、全く学校のカラーが違う。
中学から入ると、読書に調べ学習、そしてレポートと、
中高一貫である(さらに大学附属である)メリット(時間的余裕)を
最大限いかした教育がおこなわれる。
この日初めてお目にかかったそのお母さん自身が、
きっと、たくさん本を読む人なのだろう。

 

理系脳には、ある程度、先天的な(遺伝)要素が関係するが、
文系脳には、それはほとんど関係せず、むしろ、その力は
家庭の中で後天的に育まれるという論文(?)を読んだことがあるが、
この6年生の本に向かう姿勢は、おそらく母親譲りなのだろうと思った。