江角
「続いて文系科目の先生はどうですか。これからの学習には何が必要だと思いますか。」
佐野
「『答えが複数ある時代』を生徒たちは生きていきます。
前もって解答が用意されていない問題を解決するのですから、
『洞察力』や『判断力』、『想像力』は何よりも必要だと思います。
中学入試自体も、大学入試改革に歩調を合わせて出題傾向を変えつつありますし。
小学生段階で必要とされる能力の根っこは、
『正確にものを観る姿勢』と『話を聞ける姿勢』のような気がします。
でも年々この姿勢が身についていない子どもたちが増えているのには危惧しています。」
荻野
「時代の変化に臨機応変に対応する力…ずばり、柔軟性だと思います!
その元をたどると、自己効力感、さらにその元をたどると
自己受容の力ではないかと思います。
自己受容(だめなところ含め、ありのままの自分を受け入れる)ができてはじめて
自己効力感(自分はできるという気持ち)が得られ、
それをばねにして努力をつづけて柔軟にものごとに対応できる力が身につけられる…
というのが持論です。
塾は自己効力感を得ることについて一番貢献できる場所ではないでしょうか。
小テストとか、定期テストとか、現時点の自分を超えるきっかけがたくさんありますし、
ちゃんと成長したら、サーパスならそれを先生が見ていて肯定してくれます。
また柔軟性も『考える力』をのばそうとするサーパスなら身につけられると思います。」
江角
「自己効力感、自己受容力、どちらも今話題になっている自己肯定感の話ですね。」
佐野
「鴎友学園の吉野先生が書かれた
『女の子の「自己肯定感」を高める育て方』も有名ですね。
ところで、男子校に通った江角先生は、
どうやったら男子が自己肯定感を持てると思う?」
江角
「自己肯定感を持っていなかったことがないからなぁ…。」
佐野
「(笑)。そうか。江角先生に聞いても意味ないか。」
江角
「まぁ、冗談はさておき、自己肯定感って
『根拠のない自信』と言い換えてもいいのではないかと思っています。
もちろん一歩間違えると、ただ単に勘違いした人だと思われてしまうでしょうね。
日本では、もっと自分に自信を持って!なんて言う割に、自信家ってのは、
ともすると過信家として好かれない傾向にあると思いますから。
でも、ふんぞり返るという意味ではなくて、どんな局面でも何とかできるんじゃない?
って思えるとか、できることを考えてやろうよ!って思えるのは、
根拠となる何かがなくてもできることなので、
どんな時代でも通用する力なんじゃないかと思っています。」
佐野
「その力、その自信はどうやったら身に着くのかな?」
江角
「何でしょうね。ちょっと逆説的な話になるんですけれど、
頑張ればできる!とか、頑張ったらできないことはない!
ってフレーズあるじゃないですか。あれ、違うと思うんですよ。
本当に頑張ると、できないことがわかるっていう。
『俺はまだ本気出してないだけ』って言葉が一時期流行りましたけど、
今はまだ本気出していないから…って逃げてるうちは、自分に何ができるか、
自分が何者なのかが、自分でもわからないんじゃないかって思うんです。
ところが、本気で頑張ってみると、
良くも悪くもできることとできないことがわかってくるので、
自分の進むべき道が見えてくるっていう。
良い意味での諦めもあると思います。
自分ではどうにもできないことは考えたって仕方ないから、
そこは人に頼るしかないとか。
そっちは頼らせてもらうから、こっちは任せろ!みたいな。」
佐野
「だいぶ話題が広がってしまったようですね(笑)。
みなさんの話を聞いていると、いかなる状況下におかれても、自らを『信じ』、
『創意工夫』を重ね、試行錯誤を繰り返しながら粘り強く『考え抜く』能力が、
これから求められる『学力』ということですかね。強引にまとめると。
それと同時に、自分の力を過信せず、
チームワークを築ける『コミュニケーション力』も益々重要になる気もします。」
江角
「まとめてくださって、ありがとうございました!」