今、流行りの映像授業。
近所に塾や予備校がないという地域に住んでいても、
他の習い事や部活が忙しくても、レベルの高い授業を受けられるし、
自分のペースで勉強できる。これは便利だ。
大学受験の勉強に利用している子は多いと思う。
大手予備校で大学受験用の映像授業を担当している先生は、
おそらく名の通った力のある先生であろう。(多分)
突然授業をお願いしたとしても、レベルの高い授業をやってくれるはずだ。
しかも、その映像は生放送ではないので、
使う教材も板書のバランスも、説明に使う言葉も入念に準備できる。
撮り終わった後、少しでも納得いかないところがあれば、撮り直すこともできる。
となると、この映像には欠点は無い。
この授業を観て(聞いて)内容を理解できなければ、
そして成績が伸びなければ、その原因は全て視聴者である生徒側にある。
大体、映像の中で授業をしている先生は、視聴者のことを一人も知らない。
どんな学力の子かも、どんな志望校の子かも、どんな意識で取り組んでいる子かも、
何一つ知らない。だから、その子のその後に責任を一切負わないし、負えない。
と、映像授業の話のように書いてきたが、
大学受験用の大手予備校は、映像授業でなくても、このスタンスに近い。
すなわち、授業をしている先生は、生徒のことをほとんど何も知らない。
積極的に質問に押しかける生徒や、よほど優秀な生徒については、
おぼえるかもしれないが、目立たない生徒については、その他大勢の扱いになる。
そしてこれは、大学受験の大手予備校だけに限った話ではない。
規模が大きくなれば、どこでもありえる話となる。
「今日も良い授業をした」と満足している先生は多いが、
生徒が置いてきぼりでは困る。
目の前の生徒は、映像授業の視聴者ではない。