100点満点のテストで、
30点だったA君には解説付きの解答を渡し、
70点だったB君には解答を渡さなかったとすると、
A君の方が、間違い直しにかかる時間が短いということはよくある。
上のA君とB君とは別人であるが、同じ生徒に対してでも
点数が芳しくなかった場合は、解説付きの解答を渡し、
点数が良かった場合は、解答を渡さなかったとすると、
やはり前者が、間違い直しにかかる時間が短いことが多い。
たくさん間違えているなら、単純に直す問題もたくさんあって、
直しにかかる時間は相当長くなるはず。
しかも、基本問題から間違えている学力だったら、
応用問題など、そう簡単に直せるはずはない。
しかし、解答を渡すと、なぜかあっという間に間違いが直ってしまう。
「直せない問題は、さっさと解説を見て、納得したら先に進めばいい!」
というアドバイスをされたことがあるかもしれない。
こういうアドバイスをする先生は、文系の先生に多い気がするが、
これ自体は、別に間違ったことを言っているとは思わない。
ただ、この「納得したら」という言葉の扱いが難しいのだ。
先生が意図している「納得」と、子どもの思う「納得」には、差がある。
別の言葉を例にすると、「これ読んどいて!」と先生が指示した時、
先生が意図した「読む」と、子どもが実行する「読む」には、えてして差がある。
先生の「読む」は、書いてあることを理解し、その内容をおぼえておくように。
わからないことがあったら、調べたり質問したりするように!であり、
子どもの「読む」は、一読することで終わりになることが多い。
要は、解答・解説がある時に、読んだだけでわかったと早合点するのがいけない。
手を動かさない(書かない)のは論外だが、答えを写すだけでも意味がない。
ということなのだが、もう1つ!
「さっさと解説を見て、納得したら先に進めばいい!」
と、アドバイスした先生は、次は自力で頑張れ!と思っている。
しかし、安易に解答・解説を見てしまう子の多くは、
次の問題でも、ちょっとわからないと、またすぐそれを見るようになる。
じっくり考えることへの耐性が弱くなってしまうのである。
ゲームですら、攻略のヒントを、本やインターネットで調べる時代だから、
もう、そういう姿勢がクセになってしまっているのかもしれない。
文系にとっての数学や物理・化学、理系にとっての世界史などで、
解答・解説を見ながらテスト勉強した人だったら、
この勉強の仕方が点数にあまり結びつかないことを、
わかってもらえるのではなかろうか。