どうせ絶対はないのだから

模試で常に偏差値70以上を叩き出していた子も、
過去問演習で合格ラインを何十点と超えていた子も、
油断すれば足元をすくわれる。
いや、そもそも受験に絶対は無い。

僕の中高の先輩に、高校3年生の時の模試(浪人生も受けている)で、
全国2位!偏差値110超え!(1位の人はどないなっとんねん!?)
という、化け物のような成績をとっていた人がいたが、
この人が東大の前期試験で落ちたのを知った時は、
受験に絶対って本当にないんだなと思った。
(ちなみに先輩は後期試験でちゃんと東大に合格した)

偏差値って100までじゃないの?と思っている人もいるかもしれないが、
偏差値は100以上もマイナスもありえる。
しかし、ありえると知ってはいても、なかなか目にしない3ケタ。
さすがに落ちるわけがないと思っていた。

先輩は中学受験をしているから、初めての受験ではない。
多少の緊張をするであろうことも、きっと想定していたと思う。
実力の半分しか出せない教科があったとしても…とか、
どれかの教科で大きくミスをしたとしても…というような、
シミュレーションもしていたと思う。

 

ところで、子どもを中高一貫校に入学させた親御さんなら、
中学入学したての我が子が、高校3年生の先輩と並んだ時に、
とても幼く見えた!という経験があるんじゃないかと思う。
実際、高校3年生と小学校6年生では、ものすごく違う。

それだけオトナに見える高校3年生でさえ、
受験当日には力を発揮できなかったり、
自分をうまくコントロールできなかったりするのである。
だから、小学校6年生が、入試本番に力を出し切ることができたら、
それだけでとても素晴らしいことだし、
力を出し切れずに、第一志望に届かなかったとしても、
恥じるようなことではない。

難関校は特に、当日の体調やメンタル、問題の質で合否の可能性が大きく変わる。
どんなに真面目に、真摯に、努力を続けてきた子であっても、
なかなか思うようにはいかない。
だからもし、うまくいかなかったとしても、
自分の全てが否定されたように思わなくていい。
人のせいにはして欲しくないし、反省や次に繋がる分析はしていいけれど、
その結果を引きずるのは良くない。

 

ビジネスの世界なら結果が全てだと言われても仕方ないと思う。
けれど、小学生に同じことを求めるのは、酷ってもんだ。
受験で一番大事なのは、受験日を迎えるまでの過程にある。
僕はとにかく、もっと努力すればよかったと後悔するような日々ではなく、
精一杯やったと思える日々を過ごして欲しいと思う。