学校の学年が上がります。ペースを掴めるまでは焦らずに!

怖い

先日の日経新聞に、

『数学をいかに教えるか』志村五郎著 ナンセンスな教育を斬る

という記事があった。以下に抜粋してみる。

小学校の算数で教わる掛け算の「順序」。算数のテストで3×4を4×3と書いて

先生からバツをもらう子供が後を絶たないというのだ。

掛け算の順番は替えてもいいのか、

それとも文章に沿う(?)順序でないといけないのか。

実は、これほど結論がはっきりしている問題も珍しい。

数学の演算としての掛け算は「交換」できる。

つまり、3×4でも4×3でもかまわないのである。

(中略)

子供をもつ親御さんと小学校の先生方に、是非とも読んでもらいたい。

と、こうあった。

著者の志村五郎さんは数学者で、数学界におけるその功績は、

もし志村さんが若ければフィールズ賞を受賞しているであろう

と言われるくらいの素晴らしいものである。

だが、生意気にも少し口出しさせてもらいたい。

この記事の説明だけでは、あまりに乱暴すぎると思う。

もちろん本当にわかっている人にとっては、3×4も4×3も同じであることは間違いない。

数字の順番が変わったからといって、バツにされる必要はない。

しかし、例えば「時速3kmで4時間進むと何km進めますか?」という問題を

3×4にするのと4×3にするのとでは、頭の中でイメージできているものが違うと思う。

もし同じものをイメージできている人なら、どちらの式でもいいと思うけれど、

そこ(イメージ)に無頓着な人が「どっちでもいいじゃん!」と思ったとしたら、

それはよくないんじゃないかと思う。

例外を挙げることで揚げ足を取りたいわけではないけれど、

冒頭の説明だけで「是非とも読んでもらいたい」は怖いなと思うのである。

『一生使える“算数力”は親が教えなさい。』(マルコ社)

という本も先日話題になっていたが、

そこでは「分数の割り算で分母と分子をひっくり返してかける」理由を、

お父さん、お母さんがきちんと子供に説明しておくべきとあった。

世の中のお父さん、お母さんたち全員が、これを読んで

「なるほど!そうか!」と思うわけではないだろう。

しかし本や新聞といった媒体で、

それこそ権威のある人が何かを発信した場合の影響力というのは小さくない。

和田秀樹さんの書いた本を読まれたことのある方も多いだろう。

ファンの人もたくさんいるだろうから、あまりでしゃばったことは書けないけれど、

その方法論が万人に当てはまるかのように言われると、

それは難しいんじゃないかと思う。

人はみんな得意なもの苦手なものが違っていて、

家庭環境や普段の過ごし方でも感じ方や考え方、物の見方が違っていくのに、

それを無視して「能力の差なんてない」というスタンスでいってしまうと、

無理が出ると思う。

冒頭の日経新聞の記事に「小学校の先生に読んでもらいたい」とあった。

もちろん今、先生のレベルを問う風潮は強い。

しかし現場で一人ひとりの子供と精一杯向き合っている先生達は、

そんなに上から言われるほど生半可な気持ちで毎日を過ごしてはいないと思う。

自分の教え子に小学校で教鞭を取っている子もいるが、

本当に一生懸命頑張っている。

創意工夫しながら、今目の前にいるその子をどう伸ばすか。

そこに必死になっている。

教育現場にいない人が安易に書いたとまでは言わないが、

権威によってそちらの方が正しいとなってしまうことが怖い。