算数「演習」というスタイル①

100人の生徒を集めて講義をした後、
その100人の学力が同じになるかと聞かれたら、答えはNoだ。
同じ偏差値の子を100人集めても、やっぱりNoだ。
一卵性の双子であっても、おそらくNoだと思う。
科学的な根拠を持って言っているわけではないけれど、経験的にNoだ。

100人中50人がわかりやすいと感じる講義よりも、
100人中80人がわかりやすいと感じる講義の方が良いように、
学力を伸ばすには、教える側の力量が大事なのは当然!である。
しかし、どんなにいい講義、
それこそ100人中100人がわかりやすいと感じられる講義をしたとしても、
その後の生徒の学力には差が出てしまう。
もっと冷たい言い方をすると、その場で8割方理解できる子がいる一方で、
明日になったら何も残っていないような子まで出てしまう。

 

まず、仮に集まってもらった生徒の偏差値が同じだったとしても、
その子たちの得意不得意も含めた基礎学力には差がある。
また、講義を聞いている各生徒の意識にも差はあって、先生が話している間、
一言一句聞き漏らすまい!という意識で参加している子もいれば、
その間ずっと空想の世界を旅している子もいるかもしれない。

つまり、その授業を担当する先生の講義だけでは、
どうにもできないこともあるということなのだが、
それでも全員の理解度・定着度を上げるために、何かできることはあるか?
というと、それは、その講義の直後にアウトプットをさせることである。

 

例えば、料理教室において、
材料や工程、火加減などを、先生がどんなに丁寧に説明したところで、
見ている(聞いている)だけでは、同じ料理を作れるようにはならない。

だが、この後、各自に調理をさせると、最初は
「あれ?この次どうするんだっけ?」と、戸惑うことばかりだったとしても、
段々と、手順が身体に染み込んでいくものだと思う。
説明を聞いた後で、自分自身でもそれを作るのだと意識するようになると、
回を重ねるごとに、料理の基本的なルール(型)がわかってくるだろうし、
説明を聞く際、特にどこに意識を注げばいいかのセンスも磨かれてくる。
アウトプットをさせると、(もっと言うと、それを意識させるだけで)
インプットへの姿勢、インプットの質が変わるのである。

サーパスが算数をウリにできるのは、まさにここが理由である。
昔から言われる「習うより慣れよ」を実践しているのである。