「仕事の流儀」という番組が好きだ。
プロだと思う人の仕事ぶりを見ていると、なぜだか無性に感動してウルッとくるようになった。
先々週は、横浜港で働くクレーン運転士の上圷(かみあくつ)さんだった。
上圷さんが動かすのは、全長127メートルのガントリークレーン。
運転席は地上50メートルの高さにある。
ガントリーは門の型をしていることを意味し、クレーンは巨大なものや重いものを吊り上げて運ぶ機械であることを示す。
画像を見てもらえば一目瞭然。まさに機械である。
しかし上圷さんの仕事ぶりを見れば、そこに熟練した人間の凄さがある。
動いているのは機械でも、動かしているのが人間なのだ。
ロボットではこうはいかない。
高校の世界史で
「産業革命によって熟練労働者の仕事が奪われた」と教わった記憶がある。
小学生の頃に通っていた塾で「伝統工芸の跡継ぎ不足」を教わり、つい最近のニュースでも、その数が40年前と比べて圧倒的に減っていることを特集していた。
科学が発達して機械化が進み、マニュアル化が進んで熟練の技術者を必要としなくなれば、コストの削減ははかれるのかもしれないが、それで本当にいいのだろうか。
上圷が1時間に積み降ろしするコンテナは、およそ50本。世界平均の1.5倍のスピードを誇る。
だが上圷は「数字を上げようと思って運転しない。クレーン操作は、競技ではない。」と言い切る。
(中略)
最も大切にしているのは“やさしい”運転をすること。効率を上げることよりも、仲間のために“やさしい運転”をする。それが作業員たちのチームワークを生み、世界屈指の効率という成果につながっているという。
(NHK「仕事の流儀」より)
「速くて一人前。やさしくて一流」と言う上圷さんは、まさにプロだと思う。