中学入学後、音楽部に入りました。
オーケストラでもマーチングでもありません。
合唱と室内楽をやる、男子校にしては割とこじんまりした部活です。
部員は中1から高2までいましたが、多い時でも5学年合わせて25名くらい。
にも関わらず、なぜか顧問の先生が3人もいて、
外から元東京芸術大学の先生をお呼びするような、実は伝統ある部活でした。
音楽部は春と夏に4泊か5泊の合宿に行き、
年2回の定期演奏会に向けて練習するのですが、
その合宿の最終日に部員全員とOB(卒業生)が同じ部屋に集まって
夜通しゲームをするのが恒例行事です。
今日はその、音楽とは全く関係のないゲームのお話です(笑)。
そのゲームとは「インスピ(レーション)」という名のゲームで、
簡単にルールを説明すると、
参加者をAチームとBチームの2チームに分け、それぞれリーダーを決めます。
その後、AチームからBチームに、BチームからAチームに「お題」を出します。
そのお題で各チームのメンバーは5〜10分で超短編小説や詩を書きます。
出来上がった文章を各チームリーダーが集め、その文章を全員の前で読みます。
読み終わった後、相手チームのそれぞれの文章を誰が書いたか予想し、
当たった数が多い方が勝ちというゲームです。
例えばお題が「河童」であれば、
河童を題材とした文章を即興で書くことになりますが、
自分の書いた文章を相手チームに言い当てられたらいけないので、
ただ書けばいいというものでもありません。
このゲームに中1で初めて参加した時は、
先輩やOBが書いた文章など、誰が書いたかまるでわかりません。
子ども心に、先輩たちは何ていい文章を書くんだろう!と驚いたものです。
しかし実はもっと衝撃だったことがありました。
それは、同級生にもとんでもない文章を書く友達がいたことです。
このゲーム、回数を重ねると、その人その人の文章のクセが出てきてしまいます。
言い回しや、感性がわかってしまいます。
ですから、よく細部まで見ようと(聞こうと)すると、
回数を重ねるごとに「○○さんの書いた文章だ」とわかってくるのですが、
この友人(部活だけでなくクラスも一緒でした)の書く文章は、
毎回違う色を放つのです。
感想文がついついつまらない文章になってしまうと、
悩んだことのある人はたくさんいると思います。
読書量を増やせばもっといい文章が書けるのではないかと思ったりもしますが、
自分は結構本を読んでいた方だと思っていたのに、
この友人には全くかないませんでした。
同じ年なのに、題材の切り口、世界観、臨場感の出し方、言い回し…
どれだけ引き出しがあるのだろうと驚かされ、
おそらくこの瞬間にもう尊敬していたと思います。
彼と出会ったことで、「自分には文才はない」と分かった次第でもありましたが、
彼と出会ったことは、「いい文章を書けるようになりたい!」と思う
きっかけにもなりました。
みんなも、いい出会いをして欲しいです。