昨晩は、(いつものように)オリンピック男子サッカーを観戦するつもりが、
同じ時間に体操の男子個人総合もやっていて、
いつの間にか完全にそちらに目を奪われてしまった。
内村選手と田中選手が、(団体総合の予選ではミスをしてしまって
自分の演技に納得していない様子だったが)
この個人総合では失敗を全く引きずることなく、
途中4種目まで1位2位という素晴らしい演技だった。
特に内村選手は圧巻だった。
「美しいのが一番だって審判に認めてほしい。
難しい技をやるのが全てじゃないんです」と日頃から言っている通り、
足は常に揃っていて、身体の軸がブレルこともなく、まさに美しい演技だった。
跳馬の着地と鉄棒の着地の時には2回とも鳥肌が立ったくらいだ。
結果、全ての種目で15点台以上という穴のない演技で悲願の金メダル!
表彰台に乗って金メダルを何度も何度も見ながら微笑む彼は、
やっとの思いで欲しいものを手に入れた少年のような表情で
とてもかわいらしかった。
オリンピックに入る前、テレビでは「プレッシャーは無い」と言っていたが、
この日は相当の思いがあったと思う。
この日のためにずっと努力し続けてきて、
「やるべきことは全部やった」と自信を持って言う4年間が報われたその瞬間、
達成感とか安堵感とか色んな気持ちが入り混じったであろうその時に、
まず最初に感謝の気持ちを述べた彼は本当にすごいと思う。
そしてそんな彼だからこそ、同じ体操選手から
リスペクト(尊敬)されるのだと思う。
そしてまた、金メダルを取っていながら、
「100点満点で65点の演技」
「まだ満足していない。金メダルは、あしたから過去になる」
「僕の中に表現したい理想の体操があり、それを表現できても終着点ではないと思う」
という彼は、これからも進化し続けるに違いない。
彼のご両親は体操教室の先生である。
そんなお父さんに言われた言葉の中で思い出深い言葉は?
と聞かれて、内村選手が語った言葉は
「試合で失敗して泣いていた時に、
『次から同じ失敗をしなければいいんだよ。』」
と言われた言葉だという。
この言葉、優しいようで厳しい、鋭い言葉だと思う。
実践するのはとても難しいことだと思う。
しかし彼は団体予選のミスを繰り返さなかった。
言葉にするのが憚られるほどの強い気持ち、強い覚悟があったのだと思う。