昨日、男子400メートル障害予選2組で、4大会連続の五輪出場を狙った
日本記録保持者・為末大選手が1台目のハードルに足をひっかけ転倒。
「これが人生の最後のレース。(転倒で)止まるのは大事なものがなくなる気がして」
と最後まで走りきりましたが、57秒64の同組7着の最下位。
準決勝進出を逃し、涙ながらに現役引退を明言されました。
「五輪を目指して4年間やってきたので、最後こういう結果になってとても悔しい気持ちはある。一言で言って、気が済んだと。精いっぱい1年間、やるだけやってきて、やっぱり難しかったところや痛みが引かなかったり、いろいろあったんですけど、今の自分の体がこのぐらいなんだなというのが、はっきりしたので仕方ないなという気持ちでいます」
「なんとなく五輪が難しいかもしれないというのは、自分なりに1、2カ月前から感じていました。でも、これまで長い間応援してくれた方もいますし、いきなりあれが最後でした、と言うのも自分としてやりたくないと思っていた」
という言葉に見えるように、覚悟はしていたのだと思います。
レース後のインタビューでも「すっきりした気持ちです」と最初は話していました。
しかし途中で感情を抑え切れずに涙声になる場面がありました。
為末さんのツイッターによれば
「一番涙腺が緩みそうになったのは、高橋尚子さんと話した時。
目が合った瞬間、うん、わかるよという目で見られて、涙が出そうになった。
同じ体験や、背景を共有している人にはどうしても感情が溢れてしまいそうになる。
わかるという事は突き詰めていうと体験の共有なのかもしれない。」
ということでした。
そしてそのツイッターは
「しかし、きれいな結末なんてむずかしいねとトレーナーの人と話しながら、
昨日はグラウンドを後にした。
北京の後、思えば、本当に思うようにいかない競技人生だったけど、
一番学べた期間でもあったと思う。
よく転んでよく起きる。第二の人生の教訓にしようと思う。」
という言葉で結ばれています。
もう…本当にかっこいいです。大好きです。
最後に為末さんの言葉を載せて終わります。
「捨てた方が速く走れるプライドなら、捨てた方がいい。」
「自分を隠さない。
気が弱いんだったら弱いまま。
興奮しすぎるんだったらしすぎるまま。
短所はない。特徴だけがある。
特徴をすんなりと生かした選手がグラウンドで輝く。」
「成功者の言葉しか世の中には残らないから『やればできる』が格言になる。
夢は叶わないかもしれない。
叶える為の努力は無駄に終わるかもしれない。
でも何かに向かっていたその日々を君は確かに輝いて生きていたのではないか。
それが報酬だと思わないか。」
「成功体験の鍵は挑むと自分で決めたかどうか。
自分ではなく親や他人が望む挑戦は成功しても虚しい。」