20年ほど前、当然サーパスでの話ではないのだが、
生徒のお母様に言われた言葉で、忘れられない言葉がある。
「歳を取って50とか60とかが近づいてくると、幼児返りする男がいる。」
このお母様が言うところの幼児返りとは、
赤ちゃん言葉を使うようになるとか甘えん坊になるとか、そういうことではなくて、
子どもの頃の良くない癖が戻るということらしい。
20代30代、あるいは40代くらいまでは格好つけたり、
人からどう見られるかを意識したりして、気をつけられていたことが、
歳を取ってくるとどうでも良くなって、自堕落になるというか、
自分がそれでいいと思っているのだから(自分が良ければいい)と居直るというか、
そういう傾向があるとのことだった。
まぁ、このときお母様が幼児返りすると言っていたのはご主人のことで、
要はただの愚痴だったのだが(苦笑)、
例えば、ご主人が、自分の使ったものを(使う前にあった)元の場所に戻さない。
元に戻して!と言うと、また自分が使うんだから出しっ放しでいい!と言う。
結局、雑然としているのが気になるお母様が、
きっと(義理の)お母様が毎回片付けていたのね!甘やかして育てすぎだわ!
と、心の中でプンプンしながら片付ける・・・。
こういう日常のご不満が積み重なったことでのお話だったようである。
それで、この愚痴については、僕はどうすることもできなかったのだけれど(苦笑)、
その話を聞いてから、世のおじさんたちを意識して見てみると、
もう色々とどうでもよくなっちゃったのかな?という人が確かに目につくようになった。
若い人にはそういう人は(ゼロとは言わないが)あまりいないのである。
で、それを目の当たりにしたことで、
(将来、堕落していかないように)自分も歳を取ったら気をつけよう!
と思ったのであるが、後になって、別の角度からも考えるようになった。
それは、子どもの頃の教育は、机に向かってする勉強以外も、
ちゃんとしておいた方がいいのではないか?ということである。
街で見かけた、もう色々とどうでも良くなっちゃったおじさんについては、
本人がどうでも良いと思っているのだから、これ以上、赤の他人にはどうにもできない。
だが、それをその(おじさんの)親御さんが見たら、どう思うのだろう。
悲しまないだろうか。恥ずかしいと思わないだろうか。
それとも、昔からそういう子だったから仕方ないと言うのだろうか。
(20代で気をつけられたのなら、そういう特性ではない気がするのだが・・・)
これからますます高齢社会になるのに、
自分さえ良ければと思う大人ばかりになったら、住みにくいなぁと思う。