サーパスは、授業後も教室に残って勉強していい塾だ。
授業が終わったら、すぐに帰ってくれた方が、僕らの仕事としては楽なのに、
「残ってやっていったらどうか?」と、声をかける塾である。
また、各御家庭の了承を得られるなら、
既定の授業時間後(あるいは前)に補習授業をすることさえある。
だが、残念ながら、塾に残りさえすれば学力が上がるというわけではないし、
補習授業を受ければ、確実に成績が伸びるということでもない。
僕らやお母さんに、「残ってやってきなさい!」と言われて塾に残ったところで、
本人にその気が無ければ、ただそこにいただけになってしまう。
昨日のブログに登場した女の子は、自分の意思で残った。
普通は、友達が次々と帰っていくと、ついつい一緒に帰りたくなるものだ。
みんなが帰っていくのに、友達を誘うこともなく、一人で残ることは、
大人が想像する以上に難しいことだと思う。
しかも、普段は課題をスムーズに終わらせて帰っていくその子が、
授業後に残っているだけで、まず目立ってしまう。
「あれ?〇〇さん、今日は終わらなかったの?」という視線にさらされ、
ひょっとしたら、本人の中では、少し惨めな気持ちにさえなっていたかもしれない。
ちなみに、その子には、解き終わらなかった課題を家に持ち越したとしても、
翌日までには終わらせてくるだろう!と、そういう信頼をおいている。
だから僕は、その子に「全部終わらせてから帰りなさい」などと声をかけていない。
どのみち、今日明日中に終わる課題なのである。
僕はこう思う。
その子にとっての昨日の価値は、
課題をその日中に終わらせたということにあるのではない。
できない自分や、かっこ悪い自分をさらしてでも、
なんとかしようともがいたことに価値がある。
挫折というほど大きなものではないが、ちょっとした壁にぶつかった時に、
グッと踏みとどまってチャレンジをしたというか、なりふり構わずもがいた、
ここに価値があるのだと思う。
子どもは(大人もそうかもしれないが)、
ふと気が付いた時に、見違えるように成長していることがある。
でもそれは、ある日突然そうなったのではない。
成長するきっかけは、こういう見落としがちなところにある。