新学年の授業がスタートしてから早3週間目となった。
受験の慌ただしさからようやく脱し、
最早どの教室内にも鬼気迫る雰囲気は残っていない。
新たな学年に進級したことで、気持ちが切り替わる生徒もいれば、
今まで通りの挙措動作を繰り返す生徒もいる。
確かに進級というのは「ちょっとした環境の変化」のように見える。
ところが、実際には生徒にとっては大きな転換点であることに、
当の本人は気がつかない。
学習面では何よりもまず内容が高度になる。
当然のことながら分量も増える。
毎週カリキュラムをこなしていくというリズムには変化はないが、
単元を定着させるための労力と時間は確実に増加する。
しかしながら、自発的にモードチェンジできる「大人びた」小学生はあまりいない。
受験明けに元気いっぱいに扉を開けて、
前学年同様のモードで授業を受ける生徒が大多数である。
ところが頭の切り替えがうまくいかないと、
授業後、課題を持ち帰って今まで通りのペースで家庭学習をこなそうとするが、
思うように終わらず叱られ、
しかもテストの点数も前学年より落ちてしまい、さらに叱られ、
と負の連鎖がスタートする。
すると、生徒は「こんないやな状態はきっと、ずっと続くのだろうな。
勉強いやだな。どうせ勉強やったって点数取れないし。」
とマイナスのことばかりが頭に浮かび、
挙句の果ては、事前に模範解答を見て暗記していたり、
カンニングを行ってしまうといった安直な行動に走るようになる。
このような状況に陥った生徒は本当にかわいそうである。
では、この2月から3月にかけて生徒にとって大切な心掛けとは何か。
それは、これから1年間、常に心を「リニューアル」していこうと
生徒の腹を決めさせることである。
「今日の我に明日は勝つ」と美空ひばりの歌にもあるように、
これからの一年間、日々更新し、
今日よりも明日は「よりよく」なるよう前向きな心持ちにさせることが肝心である。
そのためには何よりも「楽観主義」でなければならない。
「楽観主義」の人は、どんなに辛かろうが、この状態はいつまでも続かず、
いつか乗り越えられるだろうと考える。
一方、「悲観主義」の人は、辛さが永遠に続くことを信じて嘆く。
したがって、「楽観主義」にならないと、
新学年移行というハードルを飛び越える意欲が湧かず、
先ほどの負の連鎖から逃れられないことになる。
とは言え、生徒はいきなり
「俺(または私)、今日から楽観主義に変身!」
とは叫ばない。
気持ちの切り替えにはどうしても周りの環境を整える必要があるだろう。
周りの環境とは、我々大人のことである。
我々が「悲観主義」であれば、生徒が希望を持つことはあまり期待できない。
我々がまずは心の「リニューアル」を図り、
寒さが依然として居残る初春に芳香を放つ梅のように、
生徒たちに希望を拡散させること、
これが、生徒が新たなるスタートを切る号砲となるに違いない。
(親御さん、「美空ひばり」でいきましょう!)
そして、生徒の皆さん、冬は必ず春になります。
どんなに辛くやっかいなことでも途中であきらめないことです。
続けることが大切です。
新中学1年生も新たな英語・数学に戸惑っているかもしれませんが、
始まった矢先から「苦手だ」云々と考えてはいけません。
まだ始まったばかりです。壁に跳ね返されている場合ではありません。
壁があったら乗り越えればいいのです。
すべては「気持ち」次第です。「楽観主義」です。