東大が3年後に後期日程(筆記試験)を廃止して推薦入試を導入するそうです。
ここ数年、推薦入試に対するネガティブな意見が増えている中、
その流れに逆行するような話で専門家の意見も割れています。
東大の佐藤慎一副学長はこう述べられています。
「(前期試験は)ペーパーテストのため『問いは誰かが与えるもの』であり
『必ず正解がある』という大前提があります。
受験生はこの大前提を受け入れ、限られた時間内に
多くの正解にたどり着く訓練をします。
首尾よく成果の実った学生が合格するわけで、
合格者はいわゆる受験秀才です。
しかし、大学の学問研究は受験勉強と正反対。
『問いは自分で立てるもの』であって
『必ずしも正解があると限らないもの』なのです。
受験勉強と学問研究で必要となる資質は異なります。
受験勉強で優れた受験秀才ほど、学問研究に適さないかもしれません。
推薦入試に合格して入学してほしい学生は受験秀才と異なるタイプ。
高校時代から自分で問いを立てて、
仮に未熟であっても、その問いに自分で答えを出した実績を持つ人です。
東大入学はゴールではありません。
入学後に目標を見つけられず漫然と過ごす学生もいます。
しかし、目的意識が明確ならば、その心配もない。(以下省略)」
とは言え、二次で筆記試験を実施しないというものの、
センター試験は受けさせるようですから、
おそらくセンターについては満点近い点数が必要になるのでしょう。
(内申点は学校ごとに基準が違いますから、
それをそのまま鵜呑みにはしないように思います。)
だとすると、口頭での質疑応答にしても、論文を事前に書かせておくにしても、
その問題が相当高度な問題なのでしょうか。
面接当日ディベート形式を取るとか、
黒板やパソコンを使ってプレゼンテーション!
なんてこともあるかもしれません。
「面接を数時間かけてやることもあるかもしれない。」との発表も
すでにありました。
もちろん筆記試験をやめて推薦にしさえすれば、
『問いを自分でたてる』ような子を獲得できるとは限らないと思いますが、
とにかく、東大が大学入試の在り方を変えれば、
大学入試全般に影響が出ることはもちろんのこと、
就職活動等にも影響が出ます。
そしてそれ以前に中学・高校の在り方等にも変化が出てくるでしょう。
もちろんまだ東大自体がどうするのかわからない状況で、
具体的に中学高校がどんな対応をするかはわかりません。
ただ、東大が何らかの変化を遂げようとする時には、
その影響は東大以外のところにも伝わってくることは、確実かと思います。
いわゆる地頭を鍛えるためにはどんな教育が必要か。
自分から課題を見つけて取り組むような人になるには、どんな環境が必要か。
画一的な集団ではなく、何か1つでもいいから
飛び抜けた才能を持ったような人を生みだすには、どんな土壌が必要か。
そんな問題提起をされているように思います。