昨日、100回目の節目を迎えた全国高校野球が、
神奈川県代表、東海大相模の優勝で幕を閉じた。
高校野球好きには、1つの大きなニュースとなった話で、
甲子園出場常連校である横浜高校の渡辺監督が、
この夏の地区予選敗退と同時に引退された。(引退は大会前から決まっていた)
今年の横浜は、失礼ながらあまり強くないように見えたのだが、
監督の花道を飾ろうと一致団結していたからか、しぶとく決勝まで勝ち進んだ。
しかしそれでも、決勝で東海大相模に力の差を見せつけられて敗れてしまった。
その横浜を決勝で破った東海大相模の門馬監督は、
渡辺監督から「これからの神奈川県の野球を引っ張ってくれ」
とバトンを受け取る形となっていたので、
今回の甲子園で神奈川県代表が優勝したのは、
(神奈川に肩入れしている人にとっては)
ドラマよりもドラマチックだったのではないか。
一方、決勝の相手である仙台育英は、
いまだ甲子園で優勝したことのない東北(地方)の期待を背負い、
また、震災からの復興を願う人々を勇気づけるためにと、
これまた相当な覚悟で試合に臨んでいた。
試合序盤は東海大相模の圧勝かと思わせる展開ではあったが、
6対6と仙台育英が追いついた場面では、
球場全体が仙台育英を後押しするような雰囲気にもなり、
お互いが悔いなく力を出し切れるよう、
「どちらも頑張れ!」といった感情で試合を楽しんでいる人が多いようにうかがえた。
もちろん試合である以上、勝ち負けの結果は出てしまうわけで、
せっかく決勝まで来ても、そこで負けてしまえば悔しいに決まっているのだが、
終わった後の仙台育英の選手達の表情と言葉が、
どこか晴れ晴れとしているようでとても印象的だった。
佐藤世那投手「一番楽しくて、一番悔しい試合。」
佐藤将太選手「あと一歩で悲願達成だったんですけど、
その一歩はとても険しくて、大変なんだなと思いました。」
とことんやってきた人にしか出せない言葉だと思う。
そして何かをとことんやった人にしか伝わらない言葉なのではないかと思う。
昨日の夜は、ひょっとしたら悔しくて眠れないほどだったかもしれないが、
それでもこんな気持ちを経験できたことは、彼らの一生の財産になると思う。