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その抜擢は誰のためなのか

2026 10/04
ブログ
2026 スナフキン 10月
2026年10月4日

家電量販店で、アルバイトの大学生が店長に・・・というニュースを見た。
大学は、学問をするために通うところだと思う。
けれど、店長を務めることになれば、きっとその学問を犠牲にすることになるだろう。
いや、そもそもこの根底には、
「大学は学問をする場所ではなく、就職するための資格を得る場所」
という考え方があるのかもしれない。

もちろん、学ぶ気のない大学生はたくさんいる。
学生時代にアルバイトをしていたところに、そのまま就職する例だってある。
だからといって、企業側の大人が大学生に「ちゃんと学問を修めなさい」
という正論を言えないのは、ちょっと違うんじゃないかと思う。

他方、どんな職場でも、社員である社会人より学生アルバイトの方が優秀だな、
と感じることはある。
人としての振る舞い、気遣い、挨拶。
そういった面では、必ずしも社会人の方がしっかりしているとは言えない。
結局のところ、どんな風に育ってきたか、どんな風に育てられてきたか。
そこが大きな差になるのだと思う。

また、学歴に必ずしも依らないが、学習経験の有無が差になることもある。
複数のことを同時にこなさなければならない場面や、負荷がかかった場面で、
思考停止せずに優先順位をつけて処理できるか。
そういう力は、勉強をしてきた経験とも無関係ではないと思う。
だから、優秀な大学生がいること自体は、何も不思議ではない。

しかしである。
優秀な学生がいるとはいえ、いきなり「店長」という立場を任せることが、
本当にその人のためになるのだろうか。
先輩や上司の下について、仕事を覚える。
誰かの下についた経験が、将来自分が上に立ったときに活きることもあるだろう。

その店の「長」であることがプレッシャーになるかもしれない。
「店長なんだから」と、過度な責任や労働を背負わされるかもしれない。
年上の社員を従わせようとして、変に威厳を持とうとする。
偉そうに振る舞わなければいけない、と勘違いする。
そんなことにならないだろうか。

もちろん、他社の経営に口を出すつもりはない。
ただ、若者の未来は、豊かなものであってほしいと思う。
見た目にはちょっと良く見える給与や肩書きを与えて、
まだ社会を十分に知らない若者を囲い込み、結果として潰してしまう。
もしそんなことになるのだとしたら心配になる。

……と、ここまで家電量販店の話をしてきた。
けれど、実は私が気になっているのは、別のところである。
同業他社の校舎長が、目に見えて若くなっていることだ。

先生になったばかりのとき、生徒の保護者は確実に年上である。
しかも、その保護者の方が社会人経験は豊富だ。
どう取り繕ったところで、赤子と大人くらいの差がある。
もちろん、若くても立派な先生はいくらでもいる。
だから、若くして校舎長になったことそのものを責めたいわけではない。
ただ、信頼を得ようとして、自分を偉そうに見せようとするとおかしくなる。
それよりも、自分の担当科目を一生懸命勉強する。生徒一人ひとりの変化に目を配る。
最初はそうやって自己研鑽に努める方が、ずっと大切なのではないかと思う。

そして、もう一つ気になる。今年、若い人を校舎長にする。
翌年も、その翌年も若い人を校舎長にする。それを繰り返していったとき、
今の若い校舎長たちは、近い将来、どんな立場に置かれるのだろう。

若いからダメだ、と言いたいのではない。
若いうちに責任ある仕事を任されること自体は、素晴らしいことだと思う。
ただ、それは「育てるための抜擢」なのかどうなのか。
『下積み』と言われるような経験や、そこにかかった時間が、
最近、軽視されすぎているように思う。

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